2006年1月4日(水)「しんぶん赤旗」
首相の伊勢神宮参り “慣例”ではすまない
■政教分離で問題
小泉純一郎首相は四日、三重県伊勢市を訪れ、伊勢神宮を参拝します。杉浦正健法相、小坂憲次文部科学相、中川昭一農水相、川崎二郎厚生労働相ら七閣僚が同行する予定です。同日、民主党の前原誠司代表も伊勢神宮を参拝する予定です。
首相による年初の伊勢神宮参拝は“慣例”のように続いています。大手メディアは問題視しませんが、憲法が厳格に定める政教分離の原則からみて、問題なしとしません。政府による特定宗教の特別視につながる懸念があるからです。
■戦前の歴史では
伊勢神宮は、天皇家の祖先神「天照大神」を祭る宗教団体です。戦前、国家神道の頂点として、国民に対する思想統制の中核的役割を担い、靖国神社とともに侵略戦争遂行の精神的支柱となった歴史を持ちます。
憲法が定める信教の自由や政教分離原則は、国家神道が国民の思想統制の柱とされたことへの反省に基礎を置くものでした。このため、首相の伊勢参拝を、一般市民の“初もうで”のように「慣例行事」としてすますわけにはいきません。
■民主代表も続く
首相の伊勢神宮参拝は、一九五五年に鳩山一郎首相が最初に行い、六七年の佐藤栄作首相の参拝以降、“慣例”化しています。“日本の政治は伊勢参りから始まる”式に年初の“伊勢参り”で仕事始めとするのは時代錯誤の観があります。
民主党の代表も、〇三年、〇四年の一月には菅直人氏、〇五年一月には岡田克也氏がそれぞれ参拝し、今年も前原代表が続きます。行政府の長である首相の参拝とは性格が異なりますが、“伊勢参り”で仕事始めとする点でも、自民党と民主党の間に違いがなくなっています。