2006年1月4日(水)「しんぶん赤旗」
年金保険料の損失3682億円
二束三文で売却
保養基地「グリーンピア」
年金の保険料を湯水のように使って全国十三カ所に建設された大規模年金保養基地「グリーンピア」の売却が昨年末に完了、三千六百八十二億円の損失が確定しました。各施設の売却額は建設費のわずか数%で、巨額の損失を発生させた政府・与党の責任の重さがあらためて浮き彫りになっています。
■問われる自民・公明の責任
「グリーンピア」は、厚生労働省所管の特殊法人「年金資金運用基金」(旧年金福祉事業団)によって、「厚生年金保険、国民年金などの受給者が生きがいある有意義な老後生活を送るため」などを目的に一九八〇年から八八年にかけて建設されました。「百万坪の保養地」を売り物にしていましたが、九三年度以降、深刻な経営不振に。このなかで、自民、公明、保守三党が与党の小泉内閣は、二〇〇一年十二月に、〇五年度までの「廃止・譲渡」を閣議決定しました。
■建設費の0.8%も
年金財政からの資金投入は、建設費千九百五十四億円だけではありません。年金積立金をいったん財政投融資資金に預託してから借り入れて資金を調達したことによる返済金利千五百六十億円、施設の維持管理費などもふくめて総額三千七百三十億円にのぼります。
ところが、売却費は二百六億円かけて建設した「指宿」(鹿児島県)が六億円(2・9%)、二百六十三億円の「津南」(新潟県)が二億円(0・8%)など。昨年十二月二十日、最後に兵庫県に譲渡された「三木」(建設費約三百億円)の売却価格も九億一千八百五十五万円(3・1%)でした。十三施設の売却費の合計は約四十八億円にすぎず、約三千六百八十二億円の損失が確定しました。
■官僚の天下り先
「グリーンピア」事業は、一九七二年、自民党の塩見俊二厚相(参院高知地方区)が構想を発表。「土佐横浪」(高知県)はじめ十三カ所のうち、八カ所が歴代厚相の地元に建設されました。年金福祉事業団や、「グリーンピア」施設の管理・運営にあたる財団法人「年金保養協会」の理事長には厚生省(当時)の事務次官ら高級官僚が天下りしています。
年金財政の悪化という、こうしたひどい事態になった責任の所在について、与党の自民党や公明党は国民に明確にすることさえしていません。