2006年1月5日(木)「しんぶん赤旗」

スポーツの現状をどう考える?


 〈問い〉 大まかな質問ですが、日本共産党は日本のスポーツの現状をどう考えていますか。また、どうしていくべきと考えていますか?(京都・一読者)

 〈答え〉 国民不在の政治のもとで、スポーツをとりまく環境には、さまざまなゆがみがあらわれています。

 国民のスポーツ振興の面では、長時間労働による余暇時間の削減、家計冷え込みによる消費抑制で、スポーツ活動を支える生活基盤が不安定になっています。加えて、公共スポーツ施設の有料化、医療費の値上げ、消費税の増税などの圧迫が、国民のスポーツをする権利を脅かし、「スポーツも金次第」という状況をつくりだしています。

 競技スポーツの向上の面でも、男女競泳、男子体操、女子のマラソン、フィギュアスケート、ゴルフなどでの若手選手の活躍がある一方で、球技系の競技が苦戦を強いられています。ここには、企業チームのあいつぐ撤退と解散、投資効果のある個人競技への企業支援の極端な限定などの問題があります。さらに、競技スポーツの社会的役割の正当な評価や選手の身分保障が放置され、公的な支援制度が確立されていない問題があります。競技スポーツの基盤はきわめてぜい弱です。

 この間、高校野球での暴力・体罰事件などが相次いでいますが、根底には、人権を軽視して弱肉強食の競争をあおる社会原理が作用しています。スポーツをギャンブルの対象にし青少年の生活環境を汚染する「サッカーくじ」が、文部科学省を胴元として実施されていること自体、人格形成を促しフェアプレー精神を涵養(かんよう)するスポーツの価値を傷つけるものでスポーツ振興の本筋から逸脱しています。

 日本共産党は、人間が精神面でも肉体面でもその個人的能力を全面発達・全面開花できる社会を展望している政党です。そういう立場からも当面、次の4点が大切と考えています。

 (1)雇用の安定・労働条件の改善、余暇時間・休日の拡充などで、国民がスポーツに参加できる生活・経済基盤を安定させる(2)スポーツ振興の財源は、国・自治体の予算の増額を基本とし、公共スポーツ施設の整備に力を注ぎ、利用者の負担を軽減し、スポーツクラブなどの自主活動を激励する(3)人間の発達を促し、夢や感動を与える競技スポーツの支援制度の確立をはかり、プロ野球をはじめ競技者の生活と権利を守り、ファンやサポーターに支えられた球団・クラブの安定した経営への努力を激励する(4)過度な勝利至上主義や暴力・体罰をなくし、資質の開花、心身の健全な発達、フェアプレーの尊重などスポーツの価値が発揮できるようにする。(広)

 〔2006・1・5(木)〕


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