2006年1月12日(木)「しんぶん赤旗」

経済でもアメリカ離れがあるの?


 〈問い〉 アメリカ中心の軍事ブロックがほとんど機能停止になっているのと同様に、経済でもアメリカ離れが進んでいるのではないかと思いますが、その現状は?(広島・一読者)

 〈答え〉 アメリカは、自らに都合の良い新自由主義的な経済秩序を世界に押し付けてきました。それは、大幅な規制緩和や市場原理万能主義、政府の役割の縮小などを特徴とする経済秩序です。しかし、これが貧富の格差や途上国の貧困を広げているとして、アメリカの政策を拒否する動きが世界的にみられます。

 例えば、ラテンアメリカ諸国です。アメリカの意向を受けた国際金融機関は1980年代から、財政再建の支援の条件として、これらの国々に新自由主義的な経済政策を取らせてきました。しかし、90年代末からベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビアと新自由主義からの転換を訴える勢力が相次いで大統領選で勝利。程度の差はあっても、アメリカの干渉に反対し、自国の富は国民のために使うという経済政策を掲げる政権が生まれています。

 25カ国からなる欧州連合(EU)は、公的年金や保健医療、社会的保護などを重視する「社会的市場経済」を経済政策の基本に据えています。04年10月の非公式首脳会議に提出された文書は、「ヨーロッパ的な特徴」として加盟各国が「高い質の公共サービス」を提供していることを強調、この点でアメリカと異なることを指摘しています。またEUはラテンアメリカ、アジアとの経済協力を重視しています。

 アジアでも、東南アジア諸国連合(ASEAN)が04年に採択した行動計画は、「思いやりのある社会の共同体を築く」と述べて、各国政府が経済成長だけでなく格差の縮小にも配慮することを明記しています。

 90年代後半からは、「社会フォーラム」という、新自由主義に反対し、アメリカ主導の「グローバル化」への代案を探る運動が世界で発展しています。01年からは「世界社会フォーラム」を毎年開催し、05年の第5回世界社会フォーラム(ブラジル)には、過去最高の15万5千人が参加しました。(峰)

〔2006・1・12(木)〕


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