2006年1月13日(金)「しんぶん赤旗」
郵便集配廃止
地方に不便しわ寄せ
■解説
今回の再編案で集配業務廃止の検討対象とされている郵便局は、北海道や東北、中国地方などの過疎地に偏重しています。そうした地方では、山間部や広大な地域を受け持つ郵便局が多く、配達距離が伸びることなどで生じるサービス低下は避けられません。集配業務での地域間格差をいっそう拡大し、利用者の不便を地方にしわ寄せするものです。
地方のある郵便局長は、郵便局員が過疎地の高齢者に声をかけながら郵便を届ける「ひまわりサービス」など、郵便局がおこなっているきめ細かなサービスには地域から大きな信頼が寄せられてきたとした上で、今回の再編で「安心・安全のネットワークがなくなってしまう危惧(きぐ)が現実になろうとしている」と指摘します。
郵政職場では、郵政民営化をにらみ大幅な人員削減がおこなわれ、「十時間勤務」の導入や四日連続の深夜勤務など、労働強化が進んでいます。今回の再編はそうした「合理化」策と一体のものとして出てきました。
郵政職員からは、将来、地方の郵便局が統廃合される布石になるのではないか、という懸念の声も上がっています。
郵政民営化にあたり「万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」と国会答弁したのは小泉首相です。郵便法は「あまねく公平に」サービスを提供することを定めています。今回の「再編」案は、首相答弁や法の精神にも反するものです。(矢守一英)
■顔見える 安心残して
■党議員に東川町長
■北海道では3割以上
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日本郵政公社の郵便局再編で、北海道内の郵便物を集配している四百四十六郵便局のうち、三割を超える百四十一局で集配業務を廃止し、貯金、保険などの窓口業務だけを行う「無集配局」にする計画が明らかになり、波紋を呼んでいます。
四十五郵便局中二十局が廃止になるとされている上川管内で、自治体として集配業務が廃止されようとしているのは、東川(ひがしかわ)、東神楽、剣淵、中富良野の四町です。
剣淵、中富良野両町では、町と郵便局が配達の際、独居老人の安否確認や道路の陥没などの異常があれば、町に知らせる協定を結んでおり、住民からは「顔なじみの郵便屋さんがいなくなる」と不安の声があがっています。
日本共産党の真下紀子道議、佐々木卓也旭川市議、鶴間松彦東川町議は六日、集配業務が廃止されるとされる東川町に足を運び、松岡市郎町長と懇談しました。
真下道議は「災害時に一番地域をわかっていたのは集配の郵便局員でした。廃止されれば顔の見える安全システムが壊れていく」と指摘。
これを受けて松岡町長は「郵便局には安否確認でお世話になっています。公的サービスがなくなれば、人口減にもつながります。民営化しても顔の見えるサービスが残せる措置をとってほしい」といいます。
旭川市内で、集配業務が廃止される西神楽郵便局は、美瑛町の一部を含む広大な区域を担当しています。
元郵政職員で、西神楽地区中央市民委員会の柳澤繁吉会長(77)は「西神楽までなくなるのは大変なこと。同局は配達員の三分の二が地元の人です。民営化されて集配局がなくなると、人員整理や配転が予想されます。町内会でも存続できるよう協力して働きかけていきたい」といいます。
佐々木市議は「旭川市議会は、郵便局の撤退、縮小を危ぐする意見書を全会一致で採択したが、サービス低下、地域格差が広がらないようさらに運動を強めたい」と語りました。