2006年1月18日(水)「しんぶん赤旗」
“証言 控えたい”
具体的経緯は拒否連発
「逃げるな」の声飛びかう
小嶋社長証人喚問
「刑事訴追の恐れがあるため、証言を控えさせていただきます」。十七日、耐震強度偽装問題解明のために開かれた衆院国土交通委員会の証人喚問で、マンション販売会社「ヒューザー」の小嶋進社長(52)は偽装認識にかかわる質問に証言拒否を連発。自民党や公明党など政治家との付き合い、依頼は認めたものの、真相解明とはほど遠い姿勢に終始しました。
小嶋氏への質問は偽装認識の経緯、政治家との関係などに集中。小嶋氏は偽装を知りながら、民間検査機関「イーホームズ」に「天災地震で建物が倒壊したときに調査し、発覚したことにしたい。目をつむっていてくれればいい」などと隠ぺいを要求したり、偽装を指摘された後も、偽装マンションの販売や引き渡しをしたのではないか、などと指摘されています。
宅地建物取引業法は、取引の際、業者に重要事項の告知を義務付けており、ヒューザーには、同法違反の疑いがもたれているのです。
こうした経緯について、小嶋氏は「証言を拒絶したい」「その件については…」などと約三十回にわたって証言を拒否。委員からは「逃げるな」「自分で『喚問してほしい』といっただろう」などの声が飛びました。
議院証言法では、証言拒否ができるのは刑事訴追の恐れがある場合、もしくは有罪になるおそれがある場合に限られています。日本共産党の穀田恵二議員は、小嶋氏が冒頭の林幹雄委員長の尋問に、「違法性があったという認識はない」と証言したことにふれ、「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否する矛盾を指摘。「違法性がないのなら(偽装認識の経緯について)証言を拒否する理由にならない」と厳しく追及しました。
阪神淡路大震災から十一年のこの日、黙とうで始まった同委員会の証人喚問にもかかわらず、安全なマンションを提供すべき業者としての責任のなさを浮き彫りにしました。
■耐震偽装をヒューザーが把握した経過
【昨年10月】
25日 イーホームズがヒューザーの担当部長らに偽装の疑いを通告。姉歯秀次元建築士が改ざんを認める。グランドステージ船橋海神で1戸売買契約
26日 イーホームズが国土交通省に「構造計算書が改ざんされた」とメール。グランドステージ藤沢で1戸売買契約。コンアルマーディ横濱鶴見で1戸引き渡し
27日 ヒューザーの小嶋進社長、イーホームズの藤田東吾社長、姉歯元建築士らが対応を協議。小嶋社長は「公表するなら徹底的にたたく」と圧力。グランドステージ茅場町で1戸引き渡し
28日 グランドステージ藤沢で17戸引き渡し
29日 グランドステージ船橋海神で1戸売買契約
【11月】
7日 公明党の山口那津男参院議員の秘書が「小嶋さんと会ってほしい」と国交省側に伝える
10日 伊藤公介元国土庁長官が小嶋社長らと大手ゼネコン「大成建設」を訪れ、分譲マンションの免震化について相談
15日 伊藤元長官が小嶋社長らと国交省を訪れ、担当課長らと面会
17日 国交省が21件の偽装を公表
22日 グランドステージ船橋海神1戸を解約
24日 国交省が姉歯元建築士を聴聞。
29日 衆院国交委で小嶋社長らの参考人質疑