2006年1月21日(土)「しんぶん赤旗」
日本郵政創立総会
経営陣 財界人ずらり
初代社長に西川前三井住友銀行頭取
政府は二十日、郵政民営化後の持ち株会社となる「日本郵政株式会社」の設立に向けた創立総会を東京都内で開きました。
総会では、会社の目的などを定めた定款を承認。初代社長に西川善文前三井住友銀行頭取(前全国銀行協会会長)を選びました。取締役には、奥田碩トヨタ自動車会長(日本経団連会長)、牛尾治朗ウシオ電機会長(元経済同友会代表幹事)、丹羽宇一郎伊藤忠商事会長らが名を連ねました。
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八人の取締役(社外取締役五人)のうち六人が大企業の代表・財界関係者。郵政民営化が、誰のためのものなのかを鮮明に浮き上がらせる人事です。
竹中平蔵総務相はあいさつで、「郵政民営化は二十一世紀型の新しい日本の市場経済をつくる大変重要な、大きな歴史的な意味を持っている」と述べ、民営化の計画づくりを実行する日本郵政に期待を表明しました。
日本郵政は二十三日、日本郵政公社が出資する三千億円を自己資本として発足します。二〇〇七年十月の民営・分社化までの間は、郵政公社が保有する資産などの継承計画や民営化後の事業計画の策定などに当たります。
■誰のための民営化か鮮明に
■解説
郵政民営化の要ともいえる持ち株会社、日本郵政株式会社の経営陣が決まりました。昨年十月に内定した同会社の設立委員と同様に、銀行業界のトップや財界のトップをはじめ大企業・財界関係者が大半を占めることになりました。
日本共産党は、郵政民営化は国民の願いではなく、日本の財界・金融業界とアメリカの金融業界の要求に沿ったものであると主張してきました。今回の人事は、そのことを如実に示すものとなりました。
問題は今後、この体制のもとで、郵政民営化がどう進められるのか、国民のサービスはどうなるのかということです。
経営のトップに就く西川氏は、三井住友銀頭取時代、強烈な収益追求型経営を推進してきた人物。経費削減のための過剰な店舗統廃合によって、利用者が支店で用事を済ませるのに、何時間も待たされるという、顧客無視の経営が行われてきました。
支店に過大なノルマを課し、利益のためなら何でもやる―その結果は、中小企業などへのリスクの高い金融商品の強引な販売となって表れ、独占禁止法違反で公正取引委員会から排除勧告を受ける事態にまで行き着きました。
「リスクをとって成功したものが利益を得る」(二〇〇五年十一月の社長内定時の会見)と述べた西川氏。外資系投資会社とも近い関係があるとされ、今後、投資信託など投機色の強い金融商品の販売拡大にも意欲を示しているとされます。
しかし、投機とマネーゲームに国民を巻き込むことの危険性は、進行中のライブドア問題にも象徴的に示されています。(矢守一英)