2006年1月21日(土)「しんぶん赤旗」
道州制 どこが問題?
〈問い〉貴党は道州制に反対しておられますが、道州制の問題点を教えてください。(広島・一読者)
〈答え〉「平成の大合併」の号令のもと、政府が強力に推進した市町村合併によって、全国の市町村数は、1999年3月末の3232から06年3月末には1821まで約4割減ることになります。小泉内閣は、引き続き市町村合併のおしつけを推進しようとしており、「さらに重大なことは、いっそうの合併おしつけが、道州制の導入の検討と一体にすすめられようとしていること」(第24回党大会決議案)です。
政府の道州制に関する副大臣プロジェクトチームは去る10月27日、「『小さな政府』の実現に向け、道州制の導入が有効」という中間報告をまとめました。報告は、国の役割を安全保障や外交などに絞り、国の事務を積極的に道州に移譲するよう提言しています。
戦後、地方制度は、基礎的な自治体である市町村と広域自治体である都道府県で構成されてきました。道州制は、この仕組みを変え、現行の都道府県を廃止し、全国を衆院選比例ブロック程度の規模の10余の道州に再編するということです。
道州の仕事は、いまの都道府県の仕事の一部と国の仕事を合わせたものとなります。いまでも、都道府県の行政は、住民からは遠い存在と見られている場合が少なくありませんが、道州はさらに広域行政となり、地方自治の形骸化が一挙にすすむ恐れがあります。
さらに重大なことは、財界や政府の将来構想が、道州制導入と一体に30万人規模の300市程度への市町村の大再編を明示しており、首相の諮問機関である地方制度調査会でも、小規模市町村の強制的な再編方向が議論されていることです。
そもそも道州制は、財界の要望です。福祉と暮らしのための仕事を担う自治体を大規模小数に再編し、財政規模を大幅に縮小する一方、財界・大企業のもうけになる大型プロジェクトなどをすすめやすくするところにねらいがあります。
地方制度調査会は、06年2月に道州制導入について最終答申をまとめる予定です。小泉内閣は、「道州制の導入に関する検討をひきつづき進める」としており、答申をうけて新たな具体化が始まろうとしています。
国民的な暴露と批判の取組みが求められています。(喜)
〔2006・1・21(土)〕