2006年1月23日(月)「しんぶん赤旗」
イラク収容所元責任者
国防総省が虐待指示
長官の容認メモ見た
NY民間法廷で証言
【ニューヨーク=山崎伸治】「ブッシュ政権が犯した人道に対する罪を問う国際委員会」による民間法廷は二日目の二十一日午後、米軍による拷問・虐待の問題を取り上げました。イラクのアブグレイブ収容所で二〇〇四年一月に発覚した拘束者に対する虐待行為の「責任」を負わされ、処罰されたジャニス・カーピンスキー元陸軍准将が証言し、ラムズフェルド国防長官の責任を指摘しました。
同氏は〇三年七月にバグダッドに赴任。アブグレイブなど、イラクにある十七の刑務所の管理責任者となりました。
同年九月、グアンタナモ基地で「テロ容疑者」の取り調べを指揮していたジェフリー・ミラー少将が、国防総省の指示で「新しく進んだ取り調べ技術を軍諜報部員に教える」ためにアブグレイブを訪問。ミラー氏は「もっと残酷な技術を使え」、「ここの囚人の扱いは良過ぎる」、「イヌのように扱え」などと指示したといいます。
イラク駐留軍を統括し、軍の階級でも上のはずのサンチェス司令官が同氏に従属するなど、現地では「ミラー氏をラムズフェルド長官とみなしていた」と指摘。アブグレイブが取り調べに使われたのもミラー氏の要求だったと証言しました。
カーピンスキー氏は虐待が明らかになった後、取り調べ場を訪ね、「より残酷な取り調べ技術を認める」と書かれたメモにラムズフェルド氏の署名を発見。「ミラー氏も、サンチェス氏もラムズフェルド長官の承認がなければ残酷な取り調べはやらない。長官もチェイニー副大統領の承認がなければできない」と虐待に政権中枢の関与があったと強調しました。
またこの日は、クレイグ・マリー元駐ウズベキスタン英大使が証言。ウズベキスタン政府がムスリムの人たちを虐待して得た情報を、その事実を知りながら、米中央情報局(CIA)が利用していたと指摘。
「ビンラディンに会うためアフガニスタンに行った」という調書に署名するまで拷問されたという罪のないムスリムの人の例など、「対テロ戦争」の情報収集の実態を具体的に告発しました。
法廷はこの日午前、ブッシュ政権による地球環境破壊を追及しました。二十二日には、地球的規模の人々の健康と生殖にかかわる権利への攻撃、ハリケーン・カトリーナ被災への不十分な対応の二つの罪について証言を聴取。「判決」は二月二日に公表される予定です。