2006年1月25日(水)「しんぶん赤旗」
「住宅基本法」のねらいは?
〈問い〉 来年の国会に提出が準備されている「住宅基本法」はどんなねらいがあるのですか?(埼玉・一読者)
〈答え〉 マンションなど建築物の耐震設計偽装事件は、国民にとって、生活するうえで欠かせない住宅の供給を民間企業に委ねること(市場原理)で、いかに大変なリスクを消費者に負わせるかを露呈しました。
提出予定の「住宅基本法」は、05年9月26日の社会資本整備審議会答申によると、金融公庫融資による持ち家取得にたいする支援、公団住宅、公営住宅などの公的住宅供給といった従来の住宅政策を「抜本的に見直し」て、現在の住宅建設計画法の枠組みに代わる「新たな制度的枠組み」のあり方を提示することを内容とする方向です。
具体的には、「市場重視型の住宅金融」にし、いっそう市場原理をすすめるとともに、ごくごく限られた低所得者の「居住の安定」を図るというものです。
現在の高家賃や重い住宅ローン負担の軽減や公共住宅の充実、高齢者や障害者にたいする居住差別の是正、住民参加の街づくり・居住支援といったことには触れず、もっぱら、デベロッパーやハウスメーカーの要望である、建て替えによる「住宅ストックの形成」に重点が置かれています。これは住宅政策を市場まかせにし、住宅確保を自助努力に委ねるものです。
現在求められているのは、耐震偽装設計にみられるような欠陥住宅を再生産しない、安全で負担可能な住居費で住める住宅を供給することです。
1995年の社会保障制度審議会は「我が国の住宅は豊かな生活を送るには余りにも水準が低く、社会福祉や医療の負担を重くしている一因である。居住保障はちょっとした事故によって容易に貧困に陥ることを防ぐ」と政府の住宅政策の改善を勧告しました。
このような観点の「住宅基本法」こそがいま求められています。(高)
〔2006・1・25(水)〕