2006年1月26日(木)「しんぶん赤旗」
主張
衆参代表質問
弱肉強食の隠せない矛盾
マンションやホテルの耐震強度偽装問題、東証の株取引をも直撃したライブドア事件、「下流社会」が流行語になるほどの急速な格差拡大…国民の命と暮らしを脅かす大問題が相次ぐ中で、衆参両院の各党代表質問を聞きました。
施政方針演説で「改革」の成果を誇った小泉首相も、代表質問への答弁では精彩を欠き、「三分の二与党」を背景に強引さが目立った総選挙後の前国会とくらべても、弁解やいいわけが目立ちました。
■小泉「改革」路線で
それというのも、いま持ち出されている問題がそろいもそろって、小泉「構造改革」の中で浮かび上がった害悪であることは、誰の目にも否定できないからです。靖国など外交問題ではもちろん、「構造改革」という内政問題でも、小泉政治のゆきづまりは深刻です。
耐震偽装問題は、建築確認を「官から民へ」と、民間に丸投げしたことが背景になっておきました。ライブドア事件は、株取引の大幅な規制緩和がライブドアの「錬金術」の土壌になりました。急速に広がっている所得や資産の格差が、フリーターやニートの急増に見られる不安定雇用の拡大と社会保障の急激な切り捨てによってもたらされているのは自明の理です。
とりわけ昨年の総選挙では自民党が堀江社長(当時)を担ぎ出し、「堀江さんの成功は小泉改革の成果」ともてはやしました。首相と自民党の責任が問われるのは当然です。
衆院での代表質問で日本共産党の志位和夫委員長は、「耐震偽装で国民の命を危険にさらし、『ぬれ手で粟(あわ)』の『錬金術師』を生み出す一方で、格差と貧困によって国民から夢も希望も奪い去る。こんな寒々とした弱肉強食の政治を続けていいのか」と迫りました。この質問に小泉首相は一言もありませんでした。
小泉首相と「改革」を競い合う立場の民主党も「小泉改革には『光と影』の両面がある」といいだし、与党も格差社会などの問題で、「ゆがみが広がっている」と口にせざるをえません。小泉「改革」をめぐり、文字通り様変わりの様相です。
にもかかわらず、小泉首相はあくまで「改革」の方向性は間違っていないと主張し、ライブドア事件について「改革とは別問題」などと開き直りました。耐震偽装で国民の命を脅かし、ライブドア事件で経済を大混乱させても、それでもなお小泉「改革」を続けるというのでは、それはまさに独裁政治そのものです。
しかもいま問題なのは、小泉「改革」に多少「ひずみ」が出ているという程度のことではありません。規制緩和や民間任せといった、小泉「改革」の基本方向そのものが問われているのです。
志位委員長が迫ったように、小泉政治によって極限までひどくなった「ルールなき資本主義」をただし、国民の安全に責任を持ち、人間らしい労働を支え、格差と貧困を是正する、「ルールある経済社会」への改革は、文字通り急務中の急務です。
■社会的連帯で反撃を
代表質問最終日の二十五日の参院本会議で、日本共産党の市田忠義書記局長は、「人間らしい暮らしの基盤を破壊する攻撃に対して、社会的連帯と社会的反撃を持ってこたえるたたかいの先頭に立って奮闘する決意」をのべて、質問を結びました。
小泉「改革」路線の弱肉強食政治をこれ以上続けさせないために、社会的連帯と社会的反撃を強めることが、ますます重要になっています。