2006年2月1日(水)「しんぶん赤旗」

「ゼロ・ウェイスト」とは?


 〈問い〉 最近、「ゼロ・ウェイスト」運動という言葉を耳にしますが、どんなことですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 ウェイスト(waste)には、浪費、無駄という意味と、ごみ、くず、廃棄物という意味があります。

 従来、日本の行政がすすめてきた「ゼロ・ウェイスト」は、ごみを焼却施設で燃やし、それをさらに、高いお金をかけて固化する等、出たごみをゼロにするというものです。

 しかし、ごみを焼却しても残りかすが出ます。一方、灰を固めた固化物の利用は、高額である上に、有害物等を含有しているために、広く利用できていません。プラスチックのリサイクルも高くついて、経費的に成り立ちにくくなっています。

 日本では、ごみを処理するために、莫大(ばくだい)な費用をかけ、大量生産、大量消費、大量廃棄を野放しにしてきましたが、いま、そのやり方が行き詰まっているのです。

 「ゼロ・ウェイスト」は、ヨーロッパ、アメリカでは、資源の浪費、無駄をなくすという概念で使われています。つまり、出たごみを処理するということではなく、ものづくりの段階からごみを出さないようにして、資源を浪費しないということと、環境汚染や環境破壊を引き起こさないという考え方に立っています。

 いま、オーストラリア、カナダなど各国で、「ゼロ・ウェイスト」運動をすすめる自治体が増えてきています。日本でも、出たごみを、多額のお金をかけて処理するやり方に対して、自治体や住民の間で疑問や批判が広がっています。また、外国の「ゼロ・ウェイスト」運動が紹介されるようになり、自治体や住民がそれに大きな関心を寄せ、自治体と住民が協力して実施していこうという試みがはじまりつつあります。

 いまのところ、日本での「ゼロ・ウェイスト」運動の最大の障害は、もうけ本位の企業の抵抗と、政治、行政が企業いいなりだということです。

 それを突破できるのは、資源、環境保護の立場に立った市民、住民の運動だといえます。

 日本共産党も、企業献金と無縁の立場から、「ゼロ・ウェイスト」運動に積極的に取り組んでいきたいと考えています。(恵)

 〔2006・2・1(水)〕


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