2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」
“中韓に同調 理解できない”
靖国参拝批判で小泉首相
参院委
小泉純一郎首相は一日の参院予算委員会で、靖靖国参拝への批判に、「(中国、韓国に)同調する日本人が大勢いる。これも私は理解できない。この参拝が、なぜいけないのかも分からない」と強い調子でのべました。
首相は、靖国参拝でゆきづまる日中、日韓関係について、「一部の意見の相違や対立があったからといって、全体の友好関係、交流関係を阻害してはならない」とのべました。
また首相は、「私は、意見が違うから、会談をしないとか交流をしないという考えはまったくない」「(中韓両国の)いうことをきけば、友好関係が進展する部分もあるだろう。しかし、靖国参拝を批判する人は、どう思っているのか。私は中国首脳、韓国首脳に何も条件をつけていない」とのべ、ゆきづまりの責任が中国や韓国にあるかのように力説してみせました。
■国際社会の現実見ない本質から目そらす議論
首相の発言は、国際社会の現実を見ず、問題の本質から目をそらした暴論です。
首相の靖国神社参拝に批判の声があがるのは、日本人が中国や韓国の批判に同調しているためではありません。靖国神社が日本の侵略戦争を「自存自衛」「アジア解放」の“正義の戦争”であるかのように正当化し、首相の参拝が、政府による“靖国史観”へのお墨付きを与えることになるからです。
首相は「戦没者を哀悼し、二度と戦争を起こしてはいけないという参拝が、なぜいけないのか」とものべましたが、その犠牲を出した侵略戦争を美化し、正当化しているのが靖国神社です。首相の参拝に、批判の声があがるのは当然です。最近の世論調査でも、「参拝しない方がよい」が46%、「参拝する方がよい」が28%で、世論は強く批判しています(「朝日」一月三十一日付)。
首相は、「靖国参拝問題をめぐって(中国、韓国と)意見が違うのは事実だ。一部の意見の相違や対立があったからといって、全体の友好関係、交流関係を阻害してはならない」とのべました。
しかし、“靖国史観”は、日独伊の侵略戦争を断罪した上に成り立っている戦後の国際秩序を真っ向から否定し、挑戦するものです。この神社への参拝が日中、日韓関係のなかの「一部の対立」などではないことは、中国、韓国のみならず、アジア諸国、米国からさえ批判、懸念の声があがっていることからも明らかです。一月三十一日にも、米国のゼーリック国務副長官が、自民党議員に「歴史問題がマイナスに作用することは避けてほしい」と強い懸念を示しました。
小泉首相は、靖国参拝への批判の声に耳を傾けず、問題の核心から目をそらし、「中国がいけないというから、いけないというのか」と激した調子で声を荒らげました。
首相の発言からは、日本外交のゆきづまりを前向きに打開する方向はまったく見えません。首相が感情的に開き直るほど、ゆきづまりは深まるばかりです。首相の答弁に、自民党席から「よし」と激励の声さえ飛びました。侵略戦争を正当化する自民党政治の異常さを象徴する一幕でした。(小林俊哉)