2006年2月2日(木)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
防衛庁長官 同意の自治体挙げられず
参院委 井上議員の米軍再編問題追及
在日米軍再編に反対の声を上げる自治体に対する圧力と介入を、防衛施設庁が指示していた―。一日の参院予算委員会で日本共産党の井上哲士参院議員は、同庁の指示メールを暴露し、追及しました。
■自治体の叫び
井上氏は、再編・強化の対象となっている全国の米軍・自衛隊の基地を示した地図を掲げ、「再編への同意が得られた自治体はあるのか」とただしました。
額賀福志郎防衛庁長官は「まだ合意したというのはないが、合意に向かって協議が進ちょく中であると理解してほしい」と述べ、同意した自治体を一つも挙げることはできませんでした。
井上氏は、首長や議会が反対を表明している自治体が、すでに全国で百三もあることをパネルを掲げて示し、「基地の強化・恒久化反対は、政治的立場を超えた自治体ぐるみの叫びだ」と強調。同時に、今回の在日米軍再編は「平和と安全」のためという政府の口実について、日本を地球的規模での先制攻撃戦争の根拠地にしようとするものだと批判しました。
小泉純一郎首相は二〇〇四年十月の講演で「政府は自治体に事前に相談し、自治体がオーケーした場合には米国と交渉する」と強調しています。
ところが実際は、自治体に相談なく、日米両政府で再編計画を合意(昨年十月)しました。
井上 手順は(首相の言明と)全く逆になっている。よもや(計画を受け入れさせるため)自治体に対し国として圧力をかけるというやり方はとらないな。
首相 よく対話を重ねて、理解、協力を得るように、さまざまな働きかけをしていきたい。
首相は「圧力」ではなく「対話」を強調しました。
■「御指導」を明記
そこで井上氏が示したのが、防衛施設庁の地元調整実施本部が、全国の防衛施設局あてに送信した電子メール。反対の意見書を上げようとする地方議会に圧力と介入をはかるよう指示した内容です。しかも、上層部による「御指導」まで明記しています。
井上氏は、メールを読み上げ、追及しました。
井上 「御指導」とは、防衛庁長官ではないのか。
額賀長官 私は(メールの)文言を見ていない。地元議会、住民の意向については率直に聞き、把握するのは当然のことだ。
井上 声を聞くのは当然だ。反対決議を上げるなと圧力をかけるのが当然だというのか。
長官 地元の理解を得るための一環として、さまざまな行動を行っている。
額賀長官は、メールを「見ていない」のに、メールが指示した“圧力”を「地元の理解を得るための一環」と開き直りました。井上氏が真相解明を求めたのに対しては「調べてみたい」と答えました。
井上氏は「地元自治体を常に監視し、反対決議が上がらないように圧力をかける。こういうやり方は、絶対に許すことはできない」と批判しました。