2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」
皇室典範の改定 閣内・与党異論
首相「今国会成立」いうが
小泉純一郎首相が「今国会に提出し、成立を期す」(一日)と明言している皇室典範改定について三日、閣僚から異論が続出しました。自民党内でも反対の声が強まっており、首相や執行部が対応に追われる異例の事態となっています。
皇室典範改定は、女性・女系天皇を容認するなどの内容で、“男系尊重”の立場から反対が相次いでいます。麻生太郎外相は三日、閣議後の会見で「通常国会でしゃにむにやらなければならない法案か。もう少し、いろんな方々の話を聞き、議論をすることが必要なんじゃないか」と発言。谷垣禎一財務相も「今国会だろうとそうでなかろうと、国民の合意が形作られて、すんなり決まっていくことが望ましい」とのべ、今国会の処理に必ずしもこだわらない考えを示しました。
杉浦正健法相も「改正案のままだと天皇家の家系から(男系が)外れることもある。検討すべき点が多々ある印象だ」と指摘。中馬弘毅行革担当相は「どの派閥からも慎重論が出ているのは事実だ」とのべました。
これに対し、安倍晋三官房長官は方針変更がないことを強調。閣僚からの異論については、「法案が出ていない段階なので、それぞれの感覚をのべているのだろう」と語りました。
一方、改憲右翼団体の日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会(会長・平沼赳夫元経産相)が一日までに集めた改正案反対署名に、自民党から百三十五人が署名。二日には、各派閥の会合で「慎重」対応を求める発言が相次ぎました。“小泉チルドレン”と呼ばれる新人議員八十三人のなかからも、改正案の今国会提出の先送りを求める提案に十五人が賛同。山崎拓前副総裁が「議論が紛糾しつつあるので憂慮している」(二日)と表明するほどです。
こうした動きについて、武部勤幹事長は三日、「いろいろな意見があるのはそのとおり。同時に、かんかんがくがく議論する前に正しく情報や知識を把握することが大事だ」と強調。「静かな議論のなかで、法案が提出されたら、内容を熟知したうえで、自然の流れで決まっていくことが一番望ましい」などと沈静化への期待をにじませました。