2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」
麻生外相「天皇の靖国参拝要求」発言
“国家神道を連想”
アジア各紙が批判
麻生外相が天皇の靖国神社参拝を求めた発言を行ったことに、アジアのメディアから厳しい批判が相次いでいます。
マレーシアの中国語紙星州日報二日付は、「うっ憤晴らしはやめよ」と題する記事を掲載。「靖国神社参拝問題では日本と中国、韓国との外交関係が冷却化し、双方の首脳会談すらできなくなっている。ところが、麻生氏は日本外交の責任者としてこう着した局面を打開する努力はなにもせずに、極めてごう慢にも天皇に靖国神社参拝を求めた。これは非常に危険な発言だ」と述べています。
そして、麻生氏の発言は、「靖国神社参拝問題で、中国は『口をつぐめ』と叫んでいるようなものだ」と指摘。「日本の指導者が歴史の事実をゆがめたり、妄言をくりかえすようでは、中国、韓国と日本との困難な政治関係の打開や突破は難しい」「麻生氏が中国と韓国を挑発し続けるのは、日本全体の利益とも相いれない」と批判しています。
■首相はどうなのか
一方、韓国の中央日報一日付社説は、次期首相の座を狙う麻生外相が小泉首相の靖国参拝を擁護した上で天皇の参拝を主張したことに注目、「政治的な栄光のためにはどんな手段でも使う」と外相を批判。
「彼を外相に任命した小泉首相はどうなのか。好きなように騒げということなのか。こうした(韓国の)批判も内政干渉だというのか。過去についての際限のない自己合理化なのか」と述べています。
韓国日報一日付の社説は、靖国参拝を「不戦の誓い」だとする小泉首相の主張について「直ちに(日本の)『右傾化』の証拠とするにはどこか足りない部分があった」としつつ、「国家神道を連想させる麻生外相のたわごとは、小泉首相の論理を大きく揺るがした」と強調しています。
ソウル新聞一日付の社説は、「もし天皇が参拝すれば、それは直ちに、日本が犯した戦争を美化しようという信号弾と解釈するに十分だ」と述べています。
■抗議の中「火に油」
中国では、共産党機関紙・人民日報(電子版)一月三十日付が「麻生外相はいかなる旗を掲げるのか」と題する論評を掲載しました。
論評は、昭和天皇が侵略戦争の責任を負っていること、その一方で昭和天皇やいまの天皇が「かつての戦争に心痛む」という趣旨の発言もしていることを指摘。靖国神社にA級戦犯がまつられるようになった経過を紹介し、一九七〇年代から天皇は靖国に参拝していないと述べています。
つづけて「アジア諸国が日本の指導者の靖国参拝に強い抗議を表明しているときに、麻生外相の発言は火に油を注ぐものだ」「日本の外交トップのこのような発言は思いもかけないものだ」と指摘。麻生発言について、「天皇の靖国参拝を鼓吹するとはどんなつもりか? 日本を軍国主義時代に戻そうというのか?」と厳しく批判しています。
最後に小泉首相に言及。「麻生外相を任命したのは、おかしな行動である。このような人物に外交を任せるのは日本をアジアから引き離し、孤立させるものである」と指摘しています。