2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」
国債発行 戦後は禁止されていたの?
〈問い〉 国債は戦後、発行を禁止されたと聞きましたがほんとうですか?(福岡・一読者)
〈答え〉 現在の財政法(1947年施行)は「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」(第4条)とし、国債の発行を原則として禁止しています。この規定は、わが国の支配層がおこなった無謀な侵略戦争が膨大な戦時国債の発行があってはじめて可能であったという反省にもとづいて、財政法制定にさいして設けられたものであり、憲法の前文および第9条の平和主義に照応するものです。
この点について現行財政法の制定時の直接の起案者である平井平治氏(当時、大蔵省主計局法規課長)は、当時の解説書(「財政法逐条解説」 1947年)で、つぎのようにのべています。
「戦争危険の防止については、戦争と公債がいかに密接不離の関係にあるかは、各国の歴史をひもとくまでもなく、わが国の歴史をみても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であったことを考察すれば明らかである、…公債のないところに戦争はないと断言しうるのである、従って、本条(財政法第4条)はまた憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものであるともいいうる」
こうした、財政法での国債発行の原則禁止と憲法の戦争放棄との関連は、今日、あらためて強調されるときです。
この財政法4条のもとで、1964年までは、一般会計の歳出の財源としては国債は発行されてきませんでした。しかし、自民党政府は、開発優先の「高度成長政策」を進めるために1年限りの「財政処理の特別措置法」を制定し65年度に赤字国債発行にふみきり、66〜74年度には第4条の「ただし書き」にある「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」とあるのを利用し、建設国債を発行、75年度からは「公債発行特例法」を毎年のように制定して、赤字国債を発行してきたのです。
日本共産党は、こうした赤字国債発行にたいして、最初からその危険性を指摘して反対してきました。
国と地方の借金は05年度、国内総生産(GDP)比で150%をこえるまでになりました。政府・財界はこれを逆手にとって国民を痛めつける政治をおしつける脅しにつかっていますが、これだけの借金をつくった責任はだれにあるのかがきびしく問われなければなりません。(喜)
〔2006・2・4(土)〕