2006年2月8日(水)「しんぶん赤旗」
他民族への暴行増加
ロシア NGOが調査
【モスクワ=田川実】スキンヘッドと呼ばれるネオナチの若者集団など過激な民族主義グループによる傷害や殺人事件がロシアで増えていることが、市民団体系の研究所の調べで裏付けられました。主な攻撃対象はアジアやアフリカなど非スラブ人ですが、左翼系若者グループへの攻撃も増えており、政府や政治家の一部による排外主義の利用も指摘されています。
人権団体モスクワ・ヘルシンキグループなどが二〇〇二年に設立した研究所「SOVA」の報告によると、この種の事件が〇五年は百七十九件おき、二十八人が殺され三百六十六人が負傷しました。〇四年は百十九件で四十六人死亡、二百三十三人の負傷でした。
両年とも、被害者のうち七割以上がアジア、アフリカ、中東の有色人種で、ロシアの国民でも南部コーカサス地方の出身者が大半。若者のサブカルチャー、左翼系グループの被害は、〇四年が四人の負傷でしたが、〇五年は死亡三人、負傷八十七人に激増しました。
今年は二月三日までに、モスクワのユダヤ教会襲撃など二十一の事件があり二人が死亡しました。
ロシアでは地方や中央で民族主義的組織の結成が続き、街頭行動も顕著です。旧ロシア革命記念日を廃止し昨年から始まった十一月四日の「国民統合の日」(ロマノフ王朝成立の契機となった一六一二年のポーランド軍からのモスクワ解放記念日)には、ネオナチの若者たちがモスクワ市当局の許可を受け野外集会を開きました。
SOVAの報告書は「エリートたちは過激ナショナリズムを政治的脅威とは見ていない」と指摘します。政治指導者たちは排外主義にまともに対応せず、「民主的有権者を脅し、リベラルな野党を攻撃するのに利用している」のが実情。プーチン大統領を支持する一大青年団体「ナーシー」もその一例です。
報告をまとめたガリーナ・コジェブニコバさんは、「人種差別暴力への有罪判決が増えているのはいい変化だが、過激右翼の活動がより活発になれば政権が有効に対処できる保証はない」と警告しています。