2006年2月9日(木)「しんぶん赤旗」
格差問題
自民、“反撃”に躍起
ごまかし統計もとに「正社員増」
衆院で始まった来年度予算案の審議では格差問題が論戦の焦点になってきました。これまで防戦一方だった政府・与党はなんとか“反撃”に転じようと躍起です。
政府が前面に押し出し始めたのが「改革」の成果です。七日の衆院予算委員会では、日本共産党の佐々木憲昭議員の批判に対して小泉純一郎首相は反論を試みました。
佐々木議員 若者の非正社員化が進むのは、政府の政策に大きな原因がある。
小泉首相 最近は正社員が増えてパートが減っているという統計が出ている。(失業率の改善は)かなり柔軟性を持った労働環境を整備してきたからだと評価も受けている。
佐々木議員がすかさず「統計の取り方にごまかしがある」と指摘したように、首相のいう「正社員」には派遣・請負・契約などが含まれており、正社員が増えたと言えるものではありません。
しかし新しい材料を持ち出してきたところに、なんとか「改革の光」を演出しようという必死さが現れています。
自民党の中川秀直政調会長も「改革の加速化こそが諸問題の唯一の解決方法だ」と小泉「改革」を持ちあげました。
もう一つ小泉首相が露骨に言い始めたのが「格差が悪いことと思わない」という格差容認論です。前原誠司・民主党代表の教育の機会均等が脅かされるという批判に対して「学校の成績が良くないからといって悲観する必要はない」と答え(七日、衆院予算委)、委員会室が騒然となる場面もありました。
当初「いわれるような格差はない」と否定した答弁から大きな軌道修正ですが、それは格差拡大の事実を否定できなくなったからでもあります。
「攻撃は最大の防御」とばかり、「改革」の自賛を始めても、国民の暮らしの実態から離れては説得力を持ちません。自民党からも「必要な改革ではあるが、間違った方向に行くときはブレーキをかけなければならない」(六日、衆院予算委、伊吹文明議員)という懸念の声も引き続き出されています。(北村隆志)