2006年2月12日(日)「しんぶん赤旗」
NTT年金、減額ダメ
退職者向け 厚労省が初
NTTグループが申請していた企業年金の退職者への給付減額を厚生労働省が却下していたことが十一日、明らかになりました。NTTの経営が深刻な状況ではないと判断したため。同省が減額申請を承認しなかったのは初めてです。「NTT企業年金受給者減額差し止め訴訟原告団」は同日、「NTT退職者のみならず千七百万人ともいわれる企業年金加入者・受給権者にとって極めて喜ばしい歴史的な勝利」との声明を発表しました。
NTTグループ五社は、〇三年から約十四万人の退職した受給者に対し、給付減額に応じる同意署名を脅迫的なやり方で強要、十二万人の同意を集めたとしてきました。これに対し、NTTの退職者二百八十五人は〇四年秋、NTTが厚生労働省に給付減額を申請しないよう求める事前差し止め訴訟を起こしました。
昨年九月八日の東京地裁判決は、事前差し止めの訴えを退けたものの、「原告の訴えは、訴えの利益があって、適法」としました。判決直後、NTT側は退職者の給付額を月一万―二万円減らす年金規約の変更承認を申請しました。
しかし、厚生労働省はNTTは多額の経常利益を計上しており、経営が著しく悪化しているとは認められないとして、申請を却下しました。
日本共産党の吉川春子参院議員は昨年六月の国会で、NTTが〇五年三月の連結決算で七千億円を超える純利益を上げているとして「給付減額を認めるべきではない」と質問。尾辻秀久厚労相(当時)は「(真にやむを得ない場合という)要件に照らして厳正に審査する」と答弁していました。