2006年2月15日(水)「しんぶん赤旗」
麻生外相発言は「扇動的」
NYタイムズが外交感覚批判
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ニューヨーク・タイムズ十三日付は、社説で麻生太郎外相の歴史観を取り上げ、日本軍国主義と植民地支配、戦争犯罪について「扇動的な発言」をしているのは「誠実でも賢明でもない」と批判しました。
社説は、日本では「朝鮮の若い女性たちを集団拉致して性奴隷にしたこと、中国の都市や捕虜に対する生物兵器実験および南京での何十万の市民に対する虐殺」といった日本の責任にみあった「公的な論議や学校での現代史教育」が行われていないと指摘。こうした状況で麻生外相の「ぞっとする一連の発言」が近隣諸国を怒らせてきたと述べています。
麻生外相が天皇に靖国参拝を求めたことや、台湾の教育水準の高さは日本の植民地支配のおかげだと主張したことにも言及。「その後のへたな釈明でも(発言の)影響は変わらない」としています。
「中国は近年、日本を脅かした記録はない」のに、中国の長期的な軍事力増強が日本の「重要な脅威」だと同外相が述べたことについては、すでに困難な中国との関係に火をつけたと指摘。「麻生氏の外交感覚は彼の歴史観と同様に奇妙だ」と結んでいます。
■次期自民総裁の「靖国」対応注視
■中日友好協会副会長
自民党の山崎拓前副総裁は十四日、都内で中日友好協会の井頓泉副会長と会談しました。井副会長は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に不快感を示した上で、九月の自民党総裁選に触れ、「次のリーダーが靖国参拝をするかしないか注目している。だれがなるにせよ、途絶えている首脳会談の再開に強い期待を持っている」と指摘しました。
これに対し、山崎氏は「靖国問題は総裁選で(候補者が)意見を求められる。どういう立場を取るかは説明責任がある」と述べ、改めて同問題が総裁選の争点になるとの考えを示しました。