2006年2月16日(木)「しんぶん赤旗」
脊柱除去 確認せず
米牛肉 日本の査察 ずさん
農水・厚労省 月齢もあいまい
BSE(牛海綿状脳症)の危険部位混入で再禁輸となった米国産牛肉の対日輸入条件の順守をめぐって、農水・厚労両省の「査察」では、日本向けの危険部位除去と肉質による月齢判定作業が確認されていなかったことが十五日わかりました。日本共産党の高橋千鶴子議員が衆院予算委員会の午前の集中審議でとりあげたもの。川崎二郎厚生労働相、中川昭一農水相が答弁に窮し、農水・厚労両省が昨年十二月に実施した「査察」のずさんさがあらためて浮き彫りになりました。
■衆院予算委 高橋議員が追及
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政府は、米国の食肉処理施設の査察について、統一見解で、日本への輸入前だと危険部位除去などの順守状況が確かめられないと説明してきました。高橋議員は、一月十九日に開かれた内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会の議事録をつきつけ、日本向け米国産牛肉のBSE特定危険部位除去を「実際に見て確認できたのか」とただしました。川崎厚労相は「作業がおこなわれているのを確認した」と答弁しました。
ところが、議事録によると、厚労省の査察担当者が「実際に日本向けのもので、脊柱(せきちゅう)を除去しているところは今回見られなかったので、次回見てこようと考えている」と説明しています。この点をつかれると、川崎厚労相は答弁できなくなり、「と畜処理ラインは見てまいりましたが、(日本向けラインへの)切り替えは現認していない」と認めました。
月齢判定について、中川農水相は「(査察した)十一施設中四施設は肉の成熟度で月齢判別はやっていなかった」と説明しました。
プリオン専門調査会には農水省の査察担当者が「まだ月齢確認牛は受け入れていなかった」「もう一回、次回でもよく見なければいけない」と説明しており、条件順守の確認という「査察」の実態の無責任ぶりが明らかになりました。高橋議員は、査察そのものの責任を果たしていない政府の姿勢をきびしく批判しました。
高橋議員は、午後の審議で、小泉首相にたいし、米国に日本と同等の対策を求めるべきだと迫りました。