2006年2月16日(木)「しんぶん赤旗」
家計簿は告発する
源泉徴収票から見る 定率減税廃止の痛み
“きょう初めて知った”
十六日から受け付けがスタートする所得税の確定申告。申告のために職場から配布された源泉徴収票には、二〇〇五年分の所得税の定率減税額が記載されています。源泉徴収票から定率減税半減・廃止による増税額を知った労働者に驚きと怒りが広がっています。(山田英明)
「今日初めて知りましたよ」。東京都内の会社で勤務する佐藤竹夫さん(62)=営業職、仮名=は語ります。
■二重の痛手
佐藤さんは、すでに職場から源泉徴収票が配布されていたものの、「詳細は目に留めていなかった」と話します。
記載されていた定率減税の額は、約四万三千円。今年一月からこの半額が増税になります。廃止されれば、全額が増税になります。「取られる分が増えるのは痛いね」と佐藤さん。
四年前に脳こうそくを患いました。以来、月五千円以上もの医療費が必要に。「検査をするとさらに三千円くらい上乗せです。毎月毎月の出費がかさみます」。政府が十日に閣議決定した医療改悪案も佐藤さんを不安にさせています。
現役並みに所得がある高齢者(七十歳以上)の医療費負担を、二割から三割に引き上げる(今年十月から)など、小泉内閣は、医療制度「改革」関連法案を、今国会に提出します。
「年とって収入が無くなっても、支出は増えるばかり。増税と医療改悪は二重に痛手です」。佐藤さんの家計を小泉「構造改革」が直撃します。
■増税は困る
運送業者に勤務する橋本伸二さん(59)=鎌倉市在住、仮名=は、妻と子ども二人の四人で暮らしています。
「今でさえ毎月毎月大変です」と語る橋本さん。定率減税が廃止されると、年二千八十円の増税になります。
橋本さんは、「一円でも出費が惜しい生活です。これ以上の増税は困ります」と嘆きます。
「源泉徴収票に定率減税の額が書いてあるなんて知らなかった。教えてもらわないと気付きませんよ」。橋本さんは「早速、職場の同僚たちに話してみます。増税について知らせないといけない」と話しました。
京都市内の会社に勤務する中島豊さん(33)=独身・仮名=は、「取られる金が増えるのはいやです」と語ります。営業担当で年収約五百万円の中島さん。定率減税の半減によって年約四万円の増税になりました。廃止されると同八万円の増税になります。
一昨年離婚し、毎月の養育費や住宅ローンなど「月々の出費は大きい」と語る中島さん。「さらに消費税増税とか所得税増税とかになると…。政治の動きを見張らないといけませんね」
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