2006年2月17日(金)「しんぶん赤旗」
郵政民営化
集配局減は約束違反
衆院委 吉井議員、総務相を追及
吉井英勝衆院議員は十六日の予算委員会で、郵政民営化によって、郵便集配業務をする集配局が四分の一以下になってしまう問題をとりあげました。昨年の郵政民営化論議で郵便局が“すべてそのまま残る”とした竹中平蔵総務相にたいし、「まったく逆行しているではないか」と追及しました。
郵政公社は二〇〇七年十月の民営化前に、集配局を四千七百五からおよそ千局減らす計画です。吉井氏は、この計画は、民営化後にも、さらに集配局を「原則として」千八十八の「統括センター」に集約してしまう二段階のものであることを指摘しました。
竹中総務相は、これまで集配特定局が「地域の中の中心的な役割を担っている」「ネットワーク価値が高い」とのべていました。
集配局をなくす計画が明らかになった北海道天塩(てしお)町では、「人口減と過疎化に拍車がかかる」と町ぐるみで反対運動がおき、小学生以上の住民の八割から署名が集まりました。
吉井氏が調査にいった高知県越知町や、京都大江局で集配業務がなくなることへの不安が広がっていることを紹介し、「郵便配達の人が過疎化し高齢化している地域社会を支えている。地域格差の拡大にストップをかけることが政治の大事な役割ではないのか」とただしました。
竹中総務相は郵便局の社会的機能は重視するとしながら、「これまでのものと寸分たがわずではない」とのべ、「必要な統廃合はこれまでも行われた」と統廃合を正当化しました。
吉井氏は、集配廃止リストの提出を要求しました。
■解説
■地域格差に広がる不安
二〇〇七年十月の郵政公社民営化にともない、郵政公社は民営化の前後の二段階で、全国に四千七百五ある郵便局の集配局を千八十八にしてしまう再編案をつくっています。
過疎地では町や村で唯一の集配局がなくなることで、数十キロ先から集配業務をしなければならなくなり、収集、配達の遅れなど都市との格差ができることの不安が広がっています。
郵政公社の再編案によると民営化までに、全国に四千七百五ある集配局の二割にあたる九百六十六局で集配業務を廃止し、窓口業務だけを担当する無集配局とします。
民営化後の計画では、配達拠点となる人口密集地の「統括センター」に指定される約千百の局以外は、原則として「統括センター」に集約するとされています。
さらに、計画では、郵便の集配業務だけでなく、貯金・簡保の外務もあわせて集約されることになっています。この結果、これまで非常勤の職員をふくめて十数人でサービスを提供していた集配特定局は、わずか数人で窓口業務をおこなう無集配特定局になってしまい、サービスの低下は避けられません。
小泉首相は、郵政民営化について「万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」とのべていますが、集配局の再編は、これに反するものです。(吉川方人)