2006年2月25日(土)「しんぶん赤旗」
検察と警察の役割分担は?
〈問い〉 ライブドアの堀江前社長の逮捕は地検特捜部によってされましたが、どういう場合に地検がおこない、どういう容疑の場合、警察が逮捕するのですか?(福島・一読者)
〈答え〉 犯罪があったと判断されたときには、警察がまず捜査をおこなうことになります。検察は警察から事件の送致をうけて、起訴・不起訴の判断をしたり、起訴事件の裁判に関与するのが主要な仕事です。しかし、検察官も必要と考えた場合は、いかなる犯罪でも捜査することができることになっています。また捜査に関しては警察と互いに協力したり、警察に対して一般的な指揮をすることもできます。
検察と警察の間で、被疑罪名や容疑内容によって逮捕の「役割分担」を決めているということはありません。
ただ実際には、政界や大企業がからむ汚職や疑獄事件では検察が捜査に乗り出すことが通例となってきました。とくに、昭和電工事件後の1949年5月、東京地検に特捜部が置かれてから、政治家のからむ贈収賄をはじめ、背任、横領、詐欺、脱税事件などの多くを特捜部が担当してきました。多数の汚職事件や経済事件を手がけ、警察と比べ特捜部に捜査の「知恵」がより多く蓄積されていることは確かでしょう。
また、日本の警察は極端に政治警察的色彩がつよく、事実上、大企業や自民党の犯罪を捜査する機能を喪失していることも、検察が政治がらみの事件をおこなう理由です。ロッキード事件で田中角栄前首相(当時)を逮捕する際、その情報が警察に漏れれば、田中にすぐ知らされ逮捕に失敗するとして、検察庁は警察に隠密にことを運んだという事例があるぐらいです。
警察が今回、総選挙で自民党が推した堀江貴文前社長が関与した犯罪に切り込むことができなかったのも、政治警察としての体質が関係していると思います。
ただし、検察の捜査も政治的な考慮が払われ、体制の基本にかかわる問題になると、現状を維持するという体質をもっています。
検察がライブドア事件でどこまで捜査をとげ、犯罪が立証されるのかが注目されます。(岡)
〔2006・2・25(土)〕