2006年2月27日(月)「しんぶん赤旗」
06年度予算案
このまま通していいか(上)
「格差拡大」など小泉「構造改革」路線の矛盾が一挙に噴き出しているにもかかわらず、与党は国民に新たな負担をしいる来年度予算案を今週中に通過させる構えです。予算をこのまま通していいのでしょうか。
2兆7千億円の負担増
今国会の論戦では小泉「構造改革」の害悪のひとつである「格差拡大」が焦点となっています。小泉「改革」を正面から批判してきた日本共産党はもとより、「改革」を推進してきた与党や、競い合ってきた民主党からさえ、「格差拡大」を懸念する声が出ました。
小泉内閣のもとで、平均的サラリーマン世帯では、すでに約十二万円の負担増となっており、今後三年間でさらに八万円近い負担増になります(表)。このうち来年度予算案には、定率減税全廃、医療費の値上げなど二兆七千億円もの国民負担が盛り込まれ、「格差拡大」に拍車をかけるものになっています。
「格差拡大と貧困に追い打ちをかける庶民への負担増に反対だ」。日本共産党の志位和夫委員長は衆院本会議(一月二十四日)で「格差と貧困によって国民から夢も希望も奪い去る。こんな寒々とした弱肉強食の政治をつづけていいのかが問われている」とのべました。
定率減税廃止による増税率は、年収八百万円以下の世帯では20%を超え、大幅な負担増となります。貯蓄ゼロ世帯が四世帯に一世帯へと広がっています。石井郁子議員は「小泉内閣がすすめる税制改革は『所得の格差』をいっそう拡大するものだ」(十六日、衆院本会議)と批判しました。
高齢者への情け容赦ない負担増と医療を切り捨てる医療改悪法案。高橋千鶴子議員は二十四日の衆院厚生労働委員会で、療養病床に入院する高齢者(七十歳以上)の食費・居住費が保険適用外になれば「お年寄りが医療から追い出されてしまう」と告発しました。
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日本共産党の組み替え案
(二十日発表)
定率減税の廃止を撤回。公的医療保険制度を土台からくずす医療改悪法案の撤回
非正規増え条件も劣悪
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「パート、アルバイト、フリーター、派遣・請負労働などがどんどん増えていることが『格差社会』の根本にある」。佐々木憲昭衆院議員は七日の予算委員会で、三人に一人が非正規雇用となり、とくに若者の比率が高いことを示して、労働分野の規制緩和の転換を求めました。雇用者報酬は減りつづけているのに、大企業の経常利益は急上昇です。(グラフ)
この原因は、若年層など低賃金の不安定雇用者の拡大にあります。
家電メーカー・シャープの三重県亀山工場では六割が請負中心の非正規労働者など、大企業ほど請負労働者を多く利用。川崎二郎厚労相は、非正規労働の賃金が「そうじて低い」と認めました。
塩川鉄也議員は、十日の衆院予算委員会で、製造現場に派遣・請負が増えて、ものづくりの土台が揺らいでいることを指摘し、規制緩和の中止を求めました。二階俊博経済産業相は「ご指摘の点も十分に視野に入れて検討したい」と答えました。
小泉純一郎首相は、「将来の格差拡大につながる」などとして若年層の雇用について注意をはらっているかのように答弁していますが、若者雇用対策予算の比率は欧州諸国の十分の一から四十分の一にすぎません。
日本共産党の組み替え案
安定した雇用確保を大原則にする。若者雇用対策予算の大幅増額。労働時間の規制緩和に反対。