2006年2月27日(月)「しんぶん赤旗」

イラク各勢力が会合

衝突回避 力つくす

暴力非難 米軍撤退の要求も


 【カイロ=小泉大介】イスラム教シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに宗派間とみられる衝突と暴力が激しさを増すイラクで二十五日夜、移行政府首脳や各民族、宗派の指導者の緊急の会合が開かれました。会合は、国民的統一を維持するため各勢力が全力をあげることで一致しました。


 会合には、移行政府のタラバニ大統領やジャファリ首相に加え、爆破事件後初めてイスラム教スンニ派代表も参加。国営テレビが中継しました。

 ジャファリ首相は会合後の会見で、「すべての指導者が、(対立を終わらせるため)政治プロセスを加速させる必要性を認め、全政治勢力が国民協定に署名することを提案した」と表明。さらに「スンニ派に敵対するシーア派もいなければ、非イスラム教徒に敵対するイスラム教徒もいない。イラクの名前がすべてにまさるのだ」と訴えました。

 二十五日にはまた、シーア派有力指導者サドル師の代理人とスンニ派有力組織イスラム聖職者協会、同派政党連合「イラク合意戦線」の各代表による協議も開かれました。協議では、聖廟爆破を厳しく非難するとともに、騒乱を導くいかなる行為も糾弾し、流血の事態を終わらせることを確認。さらに米軍の撤退日程の明確化を求めることでも合意しました。

 イラク各地では聖廟爆破から四日目となる二十五日も衝突がつづき、首都バグダッド南東部では十四人の警察特殊部隊員の遺体が発見され、同北東部のサドルシティーではロケット弾攻撃で三人が死亡、七人が負傷しました。またバグダッド南方のカルバラでは自動車爆弾攻撃で八人が死亡、三十一人が負傷。中部バクバでは武装勢力が一家十二人を殺害する事態も発生しました。報道によれば、これら犠牲者の多くがシーア派教徒とされます。

 一方、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは二十五日、「武装した男たちがスンニ派住民の家に押し入り、家族すべてを殺害した」「スンニ派モスク(礼拝所)で祈っていた叔父、いとこ、おいが殺害された」などのバグダッド住民の証言を伝えました。


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