2006年2月28日(火)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎で生活一変
治療拒否・就職取り消しも
東洋大 片平教授ら調査
「平穏な生活が一変させられた」。血液製剤フィブリノゲンや、第九因子製剤を投与されてC型肝炎になった被害者の実態が、片平洌彦(きよひこ)・東洋大学教授らの調査で分かりました。
片平教授らが、国と製薬会社の損害賠償を求めて仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の五つの地裁に提訴している薬害肝炎訴訟原告七十四人に調査票を配布し、六十二人から得た回答をまとめたものです。
被害者の病状は、慢性肝炎が四十四人(71%)と最も多く、肝硬変三人(5%)、肝がん一人(2%)と約八割が重い肝臓病に苦しんでいます。また、「疲れやすい」三十人、全身けん怠感十七人、皮膚のかゆみ十二人などの自覚症状を訴えています。
「血の飛散で機械が使えなくなると歯科で治療を拒否された」「会社の就職内定を取り消された」など四割の人が偏見・差別などを受けたと答えています。
「体力が続かずに退職・転職をした」「母子感染や病気の進行を考えて子どもをあきらめた」「夫から怠け者とののしられて離婚の原因になった」など、生活設計や将来設計が変更した人も四割にのぼりました。
治療を始めてからの医療費の自己負担の総額は、五百万円を超える人が七人(最高千五百万円)いて「とても負担に感じる」四十二人(68%)、「ある程度負担に感じる」十三人(21%)と、約九割の人が負担を感じています。
片平教授は「薬害肝炎の被害は深刻。時間の経過とともに被害が加重されている。訴訟で国と製薬企業の加害責任が明らかになったことから、すべての被害者への早急な償いが求められている」と話しています。
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