2006年3月2日(木)「しんぶん赤旗」
2日間で100人以上死亡
イラク 宗派間衝突、テロ多発
【カイロ=小泉大介】イスラム教シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに激化したイラクの宗派間衝突や攻撃は二十八日から一日にかけても首都バグダッドなどで多発し、報道によれば、二日間で少なくとも百四人が死亡しました。イラク移行政府は二十八日、聖廟が爆破された二月二十二日以降の死者総数を約三百八十人と発表しており、一日時点で四百人を超えたのは確実となっています。
バグダッド南東部のジャディダ地区の幹線道路で一日、自動車爆弾が爆発し、二十五人が死亡、五十八人が負傷しました。さらにバグダッド中心部でも自動車爆弾で三人が死亡、十五人が負傷し、首都南方約三十キロのマフムディヤでは民家に迫撃弾が撃ち込まれ三人が死亡しました。
二月二十八日夜にはバグダッド北東部のアルフリヤ地区にあるシーア派モスク(礼拝所)近くで自動車爆弾攻撃が発生し、二十五人が死亡、四十三人が負傷しました。
バグダッドのシーア派居住地区のガソリンスタンドでは二十八日、灯油を買うために並んでいた市民の列で爆弾を体に巻きつけた男が自爆、二十三人が死亡し、五十一人が負傷しました。これ以外にも首都では同日、三回の爆弾攻撃が発生し、十五人が死亡、多数が負傷しました。
一方、イスラム教スンニ派政党、イラク・イスラム党は二十八日、バグダッド北部の同派モスクが同日午前に破壊され、三人が死亡、十一人が負傷したと発表しました。またバグダッド南東部の路上で二十八日、スンニ派聖職者を含む九人の銃殺体が発見されました。
イラクでは多国籍軍への攻撃も多発しており、南部アマラで二十八日、英軍部隊にたいする自動車爆弾攻撃で英兵二人が死亡し、バグダッドでは二十七日、小火器による攻撃で米兵一人が死亡しました。これで、イラク戦争開戦以降の米兵死者総数は二千二百九十四人に、英兵死者は百三人に達しました。