2006年3月2日(木)「しんぶん赤旗」

これ以上の生産力発展は地球を壊すのでは?


 〈問い〉 社会主義になると、生産力が飛躍的に発展すると聞きました。これ以上、生産力が伸びたら地球環境がますます悪化するのではないでしょうか?(東京・一読者)

 〈答え〉 資本主義の経済は、それぞれの企業が競い合って生産を拡大してきた結果、それ以前の時代に比べて生産力は飛躍的に発展しました。しかし、それが国民の生活を豊かにし、労働の軽減や労働時間の短縮、余暇の充実などにはつながらず、逆に労働者への搾取の強化や失業の増大をもたらしています。もうけにならない科学や技術の発展は後回しにされ、公害や環境破壊にも有効な対策はとられません。もうけがすべてという利潤第一主義で“あとは野となれ山となれ”――これが資本主義の本性です。

 こうした資本主義の矛盾は、個々の企業が生産手段(工場、機械や土地など生産のための道具)をもち、生産と経済活動が企業のもうけを最大の推進力として動かされるしくみから生まれるものです。そのために、資本主義のもとで生み出された巨大に発展した生産力を、社会として適切にコントロールできないのです。

 その克服のためには、企業のもうけのための生産と経済活動を、社会的な規制のもとにおき、地球環境の問題を含め社会全体の利益が経済活動の目的となるようにする必要があります。そのためには、生産手段の所有・管理・運営を働く人びと(社会)の手にうつし、生産と経済活動を企業の利潤追求から、社会のすべての人々の利益のために動くようにきりかえます。これが社会主義のもとでの生産手段の社会化です。

 生産手段が社会の手にわたることで搾取がなくなり、生産者は社会の主役として、無駄や浪費をなくし合理的、計画的な生産活動を自覚的にすすめられるようになります。社会の利益につながる学問、科学、技術が多面的に発展し、資本主義がうみだした格差や公害、環境破壊などさまざまな弊害を克服する能力も大きく発展します。

 もうけがすべてという利潤第一主義を克服した社会主義のもとでは、環境をまもるために人間の集団的な知恵が全面的に発揮できます。公害や地球温暖化の防止、資源の浪費や大量の廃棄物の発生の問題など、環境をまもるための科学技術の成果を総結集し、社会として総合的で抜本的な方策をとることが可能となる、それが社会主義です。(若)

 〔2006・3・2(木)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp