2006年3月3日(金)「しんぶん赤旗」
2兆7千億円の負担増 予算案が衆院通過
共産党、組み替え動議提出
定率減税の全廃や医療改悪など国民生活に二兆七千億円の負担増を押しつける二〇〇六年度予算案が二日の衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決され、参院に送付されました。日本共産党、民主党、社民党などは反対しました。参院は六日に予算案の審議に入る予定です。
予算案は、予算の全体規模を示す一般会計が、〇五年度当初予算比3・0%減の七十九兆六千八百六十億円。
日本共産党の赤嶺政賢議員は反対討論に立ち、「国民への負担をさらに引き上げ、社会保障改悪をすすめる予算」であるとして、定率減税廃止の道理のなさを批判しました。
また、「破たんが明らかになった『構造改革』を加速する予算だ」と指摘し、規制緩和万能の「構造改革」路線の転換を訴え、「日米軍事同盟と基地の再編強化をすすめる」と批判。基地を抱える自治体の反対の声を真剣に受けとめるべきだと主張しました。
民主党は反対討論の冒頭でメール問題の質問について異例の陳謝を行いました。
本会議に先立つ衆院予算委員会で日本共産党は予算案の組み替え動議を提出しました。動議では庶民大増税と社会保障改悪の中止、ライブドア事件や耐震強度偽装事件のおおもとにある規制緩和万能路線の見直し、軍事費や大型公共事業と大企業・金持ち減税にメスを入れることを要求しましたが、日本共産党のみの賛成少数で否決されました。
暮らしへの影響は…
(予算案の主な負担増)
06年に半減→07年に全廃
■たばこ税
1本1円相当引き上げ
■酒税(第3のビール)
350ml1缶あたり3.8円増
■年金
国民年金保険料
月額280円引き上げ
厚生年金保険料
0.354%引き上げ(労使折半)
年金給付額
物価スライドで0.3%削減
■介護保険料の引き上げ
(市町村ごとに実施)
■高齢者医療(70歳以上)
「現役並み所得者」の窓口負担
2割→3割
長期入院患者の食住費(月額)
食費2万4千円→4万2千円
居住費ゼロ→1万円
「メール問題」で隠せぬ政治の害悪
志位委員長が会見
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日本共産党の志位和夫委員長は二日、国会内で記者会見し、二〇〇六年度予算案が自民、公明などの賛成多数で衆院を通過したことについてコメントしました。
志位氏は、予算審議の過程で民主党による「メール問題」が持ち上がったことにふれ、「どの党に対してであれ、虚偽の材料で追及することは許されない」と指摘しました。
そのうえで、「しかし、小泉政権が、この問題をもって、内政、外交ともに破たんに陥っている自分たちの政治を、国民の目から隠し、塗りつぶすことは許されない」とのべました。
志位氏は、内政では、耐震偽装、ライブドア、BSE(牛海綿状脳症)問題、談合事件、貧困と格差の拡大など、小泉「構造改革」の害悪が噴き出していることを挙げ、「小泉内閣は、どの問題でもまともな反省もなければ、解決策も示さないまま、予算案を強行した」と批判しました。
外交面でも、靖国問題とアジア外交のゆきづまり、「米軍再編」の名による基地強化が全国の自治体から激しい批判をよびおこしていることを指摘し、「これについても、小泉内閣は、居直り、無理おしという道理のない態度をとっている」とのべました。
志位氏は「日本共産党は、小泉政治の害悪を根源からつく論戦をすすめてきたが、この立場でひきつづき奮闘したい」と強調しました。