2006年3月6日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論

小池政策委員長の発言


 五日のNHK「日曜討論」では、格差問題や金融問題のほか、小泉「改革」の方向性や財政問題などについて討論となりました。出席したのは、日本共産党の小池晃政策委員長のほか、自民・甘利明、公明・山口那津男、民主・直嶋正行各政調会長代理と社民・阿部知子政審会長。司会は影山日出夫・NHK解説委員。


格差問題

「構造改革」路線ストップこそ

 格差問題では、自民党の甘利氏が「競争社会だから格差は当然ある」と発言しました。小池氏は、「あたかも自然現象であるかのように言うこと自体が間違いだ」と批判。雇用の不安定化を進め、税・社会保障の所得再分配機能を弱める小泉政治が格差を拡大してきたとし、「格差をどうやって縮小するかが政治の役割だ。小泉内閣が、その責任を投げ捨てていることは重大問題だ」と述べました。

 大企業の利潤優先、規制緩和万能の小泉「改革」の方向性について、甘利氏は「いまの政策の基本的方向は間違っていない。(本体である)企業が栄えなければ、従業員の待遇改善はない」と述べました。小池氏は「(方向そのものが)間違っている」として、次のように批判しました。

 「日本経済の八割以上は中小企業であり、経済の本体は国民だ。“民栄えて企業あり、民栄えて国あり”だ。大企業に利益をもたらせば国民もよくなるというやり方では、二極分化が進み、格差の拡大が進む」

 そのうえで、庶民生活や中小企業を手厚く支える政治こそ求められると述べました。具体策として、税・社会保障の改革で、所得再分配機能をしっかり強め、税の累進性を強化することや、大企業に応分の負担を求めること、規制緩和万能論をやめ、非正規雇用と正規雇用の均等待遇のルールも含め、労働を守るルールを国が支えていくことなどを提案。「小泉『構造改革』はそれとまったく逆行する方向だ。『構造改革』そのものをストップすることが、日本の立て直しのために避けられない段階にきている」と強調しました。

量的緩和

利子収入を奪う金融政策は異常

 日銀の量的緩和の解除について、与党の代表が「デフレを脱却したのかどうか、もう少し様子をみる必要がある」と慎重姿勢を表明しました。

 小池氏は、庶民の利子収入を奪う「ゼロ金利」や量的緩和政策は「異常なもので解除は当然だ」と述べたうえで、「金融緩和と言うが、実態はどうか」と問題提起しました。負担増が続いて民間の資金需要が落ち込んでいることや、中小企業への貸し渋り、貸し出ししても金利が10%、20%という高金利になっていることを指摘。その一方で余ったお金がマネーゲームでじゃぶじゃぶ使われているのが「量的緩和」の実態だと述べました。

 そして、小池氏は「日銀の金融政策で、政府の経済政策の誤りを隠すようなやり方は破たんしている。いま問われているのは日銀の金融政策の問題ではなく、政府の経済政策だ」と主張。「国民のところにお金がまわる、お金を必要とするような活性化をするということに踏み切らなければ、いくらこんなことをやっても日本の経済は絶対に活性化しない」と述べました。

財政問題

二つの“聖域”にメス入れてこそ

 財政問題では、歳出削減の努力を行っているとする与党側に対し、小池氏は、「まったくそういう努力は感じられない」と指摘。小泉「改革」について、“歳出削減”といっても、国民の暮らしや命、安全を削るものでしかなく、“歳入改革”と言っているものは、所得税や消費税の増税など庶民増税だとして、「これは改革でもなんでもない」と批判しました。

 小泉政治による負担増が十三兆円にのぼる一方、新たな借金は小泉内閣になってから百七十兆円に膨らんでいることを挙げ、次のように指摘しました。

 「なぜこうなるかといえば二つの“聖域”にメスが入っていないからだ。大型公共事業、特別会計、道路特定財源にメスを入れるといいながら入れていない。そして、大企業や高額所得者への減税を続け、法人税はピーク時の十九兆円からいまや六兆円も減っている」

 そして、「『歳出歳入一体改革』というのであれば、歳出と歳入のこの“聖域”にメスを入れる改革が必要だ」と強調しました。


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