2006年3月6日(月)「しんぶん赤旗」
“イラク参戦 神が審判”
英首相発言 兵士遺族ら反発
【ロンドン=岡崎衆史】ブレア英首相は、四日の民放テレビITV番組で、英軍のイラク参戦の決断について、「信念をもっていれば、他の人々によって審判がなされる。もしも神を信じるのならば、それ(審判)は神によってもなされる」と述べ、イラク参戦を神によって正当化していることを示唆しました。
英国民は政治への宗教の関与を嫌うため、ブレア首相はこれまで、イラク参戦と自らの信仰を結びつける発言を控えてきました。しかし、今回の発言を受け、イラクで死亡した兵士の遺族や野党、メディアが強く反発しています。
イラクで死亡した英兵士ゴードンさんの母親のローズ・ジェントルさんは「善良なキリスト教徒は戦争を支持しない」「本当に嫌悪させられるコメントだ」と批判しました。また息子のトムさんを失ったレグ・キーズさんも「(イラクでの)全戦略が失敗したことから逃れるために神を利用している」「憎むべきことだ」と語りました。
野党自由民主党のキャンベル党首は、「戦争は信仰に基づくものでなく、その合法性、成功の確実性、犠牲者数、長期的な帰結の厳格な分析が求められるものだ」「軍事行動は誤りだった」と厳しく批判しました。
BBC(電子版)は四日付の解説で、首相の発言が、(1)西側指導者とキリスト教徒による聖戦のイメージを結びつけイスラム教徒を憤慨させる可能性を強めた(2)多くの人はキリスト教徒が戦争や民間人の死を容認することに疑問を抱いている(3)政治への宗教の関与の問題に火をつけた―と指摘。首相への追及が強まることを予想しています。
インディペンデント紙も四日付社説で、「彼(ブレア首相)が英国の政治に神を持ち込む風潮をつくり出すことになるのならば、非常に悪質だ」と警鐘を鳴らしました。