2006年3月8日(水)「しんぶん赤旗」
岩国は基地強化に
首相、「新たな負担」認める
“日本の空から爆音なくせ”
参院予算委で 市田書記局長
「日本の空から米軍機による爆音被害をなくしてほしいという願いにこたえるのが政治の役目だ」――日本共産党の市田忠義書記局長は七日、参院予算委員会で、政府が在日米軍再編で山口・岩国基地に空母艦載機部隊を移転しようとしていることを批判し、小泉純一郎首相に迫りました。
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岩国基地では現在、拡張工事が進行しています。政府は、工事の目的を「騒音や安全性の問題を改善・除去するため」であり、「基地機能強化を意図したものではない」と説明してきました。
市田氏は、神奈川・厚木基地から空母艦載機五十七機が移転すれば、常駐する戦闘攻撃機は沖縄・嘉手納基地を上回る百機体制となり、米軍機や自衛隊機を合わせると百三十機にものぼることを示しました。艦載機の主力FA18戦闘攻撃機は十五年間で二十三回の重大事故をおこしています(表参照)。
その上で、市田氏は「基地機能強化を意図したものでないといいながら、世界最大級の攻撃機受け入れ可能な基地になっている。基地の強化そのものではないか」と追及しました。
小泉首相は「新たにもってこられた地域では負担になりうる」と答弁しました。市田氏は「約束違反の基地強化であることを事実上認めた」とのべました。
額賀福志郎防衛庁長官が「総合的に考えると、予測結果によれば、(岩国基地周辺の)騒音地域は減少していく」と弁明したのにたいし、市田氏は、「予測」の根拠となる飛行経路が一九九五年に日米間で調整したものにすぎないことをあげ、「十年前に米軍と相談した経路で予測して大丈夫だという言い分に国民はだれも納得しない」と批判しました。額賀長官も、新しい飛行経路は「日米間で協議中」であることを認めました。
市田氏は、岩国基地で夜間離着陸訓練(NLP)をおこなうのは、低騒音の早期警戒機E2Cだけだとする防衛施設庁の説明について、「硫黄島で実施できない場合には空母艦載機離着陸訓練が実施されることがありうる」と防衛施設庁自身が説明していることを指摘しました。さらに、NLPの実施前には事前のタッチ・アンド・ゴー訓練が繰り返され、深刻な騒音被害が起きていることを告発。厚木基地周辺の実態を示しながら、「厚木基地の周辺に住む人たちの爆音被害は一刻も早く解消しなければならない。だからといって、この地域の人たちは、騒音を岩国にもっていけばいいとは言っていない」とのべ、「国民のだれ一人にもこんな思いをさせないのが政治の役目だ」と強調しました。
視聴者から反響
NHKで中継された市田氏の質問に、視聴者から「厚木基地周辺の住民の声、広島の住民の声など、ジーンと伝わってきた」(埼玉・女性)などの反響が寄せられました。
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