2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」
派遣社員への暴行事件
ヨドバシ、二審も敗訴
ヨドバシカメラ携帯売り場の派遣労働者にたいする暴行事件の控訴審で東京高裁は八日、ヨドバシに損害賠償を命じた一審判決を支持し、ヨドバシ側の控訴を棄却しました。賠償の総額は約五百六十万円になります。
判決で南敏文裁判長は、ヨドバシ社員の暴行はなかったとする主張を退け、「不法行為が成立し同社の使用者責任が認められる」と述べました。
事件は、同携帯売り場に派遣されていた男性が二〇〇二年十月から〇三年三月、「笑顔が足りない」などの理由で四回にわたる暴行を受け、「ペナルティーとして便器をなめろ」などと暴言をはかれたというもの。男性の母親で作家の下田治美さん宅での暴行で、男性はろっ骨骨折などの重傷を負い、下田さんはショックのため長期間執筆不能になりました。
そのため下田さんと男性が関係各社と社員に損害賠償を請求。一審の東京地裁は〇五年十月、男性への暴行でヨドバシと同社員に十万円、派遣会社と同社員に百五十万円を、下田さんの精神的被害で派遣会社らに四百万円の賠償を命令。被告のうちヨドバシ側が控訴していました。
判決後に会見した下田さんと長男は「事実が認められてほっとしている」と述べるとともに、派遣会社―DDIポケット(当時)―ヨドバシという違法な二重派遣のもとで起きた事件だと指摘。「派遣社員を奴隷化している状況の改善を」と訴えました。