2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」
改正保険業法
共済事業存続ピンチ
佐々木議員対策求める 金融相、善処を約束
改正保険業法の四月施行によって、小規模な互助会・共済が大幅な負担増になり、存続の危機に立たされています。八日の衆院財務金融委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員は「組合員の相互扶助という性格を持ち、まじめで堅実な運営をしてきた互助会・共済事業が不利益をこうむらないようにせよ」と求めました。
与謝野馨金融担当相は「きちんと相談にのり実態も把握して、共済事業が運営できるようにできる限りのことはしたい」と善処を約束しました。
保険業法はマルチ商法など共済を悪用する一部の業者を規制する目的で昨年改正されました。ところがその一方で、助けあいの精神でやっている共済も一千万円以上の資本金や保険専門スタッフが必要な「ミニ保険会社」にならないと運営できないことになり、互助会のような小規模共済にとっては重い負担となります。親が資金を出し合いボランティアで運営している知的障害者互助会などが対策を求めてきました。
佐々木氏は「消費者利益を守るための改正で、これまでやってきた互助会が続けられなくなったり、障害者が排除されるようなら本末転倒だ」と指摘しました。
与謝野金融相は最低資本金を七年間、一千万円から五百万円に軽減すると答弁。三国谷勝範金融庁総務企画局長は、保険数理に関する業務に五年間従事するなど一定の条件を満たせば、専門のアクチュアリー(保険経理人)に代わって業務ができる移行措置をもうけたと答弁しました。
「自主共済を適用除外に」
医師ら国会要請
中小業者や医師・歯科医師、登山者などさまざまな団体で作る「共済の今日と未来を考える懇話会」は八日、自主共済を「改正保険業法」の適用除外とするよう求め、国会要請行動をしました。
四月施行の「改正保険業法」では、自主的に運営されている共済にたいして新たな法規制をかけようとしています。法律が施行されるとこれらの共済は保険会社になるか、少額短期保険業者になるかの選択を迫られ、営利企業と同様の扱いになります。労働組合、学校などの共済は当面、適用除外され、七日閣議決定された政令では宗教法人も除外されていますが、適用除外はごく一部にとどまっています。
要請では、「改正」保険業法は「共済」をかたって不特定多数の消費者に金融商品を販売し、消費者被害をもたらしたマルチ共済等を規制することが目的と指摘。日本勤労者山岳連盟の「遭難対策基金」など懇話会の構成団体がつくる共済は、マルチ共済とは目的も内容も全く異なるとし、「協同組合に準ずる団体が、その目的の一つとして構成員の相互扶助のために構成員のみを対象として実施する共済」を除外規定に加えるよう求めています。
全国保険医団体連合会の住江憲勇会長らは八日、各団体の自主的な共済を新保険業法から適用除外する規定の政省令を至急策定するよう金融庁に要請しました。