2006年3月10日(金)「しんぶん赤旗」
“早く安く”安全犠牲
耐震偽装は業界全体の問題
参院委で仁比議員 国に住民支援求める
札幌市内で業界大手が手がけた賃貸マンションの偽装が発覚するなど、全国的な広がりをみせている耐震強度偽装事件―。日本共産党の仁比聡平議員は九日、参院予算委員会で「(偽装は)地域を問わず業界全体で起こっている」と述べ、「国民の不安と不信にどうこたえるのか」と政府の姿勢をただしました。
背景に規制緩和
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昨年の姉歯秀次・元一級建築士による耐震偽装発覚後、二月には福岡県で偽装が発覚しました。今月に入り、札幌市内の賃貸マンション三十三棟の偽装が新たに明らかになりました。
札幌の偽装事件について仁比氏は、「いずれも名前の通った『信頼のブランド』。住民、道民は大きな衝撃を受けている」と指摘し、「業界全体の問題を徹底的に明らかにせずして、信頼を回復することはできない」と徹底調査を求めました。北側一雄国土交通相は「厳正に対応していく」と答えました。
仁比氏は、一連の事件の背景に利益最優先で安全を犠牲にしてきた建設業界のゆがんだ構造と政府の規制緩和策があると強調しました。札幌の事件で構造計算書を偽造した二級建築士が「試行錯誤する間に納期がきて途中経過のものを出した」と述べていることも示し、「コスト削減のために納期が何より優先され、それが確認審査で通ってしまう。そうした構造が住民の安全を犠牲にした」と批判しました。
福岡のサムシング社の事件ではどうか―。仁比氏は、構造計算書を確保した四十八件について公表後一カ月たっても何の報告もされていないと指摘。「県や市に対し、調査を督促している」と答えた北側国交相に対し「同社が関与した一万二千棟の住民の不安を解消する展望はどこにもない」と述べ、現地調査を踏まえて偽装マンションの実態を明らかにしました。
そして、「安心して暮らすという根本を突き崩された思い」との声を紹介し、国が耐震診断、耐震改修など本格的な支援策に取り組むよう求めました。