2006年3月15日(水)「しんぶん赤旗」
「思いやり予算」延長
自公民賛成 共産党反対
日米特別協定を承認
衆院
「思いやり予算」をさらに二年間延長するための日米特別協定が十四日、衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新党の賛成多数で承認されました。日本共産党と社民党は反対しました。現行の協定が三月末に期限切れを迎えるため、政府・与党は、参院での早期承認を狙っています。
同協定は、在日米軍の駐留経費のうち、在日米軍基地従業員の労務費の一部と光熱水料、訓練移転費について、日本側が負担することを定めたものです。
在日米軍の特権を定めた日米地位協定も、米軍基地の維持経費は、基地そのものの提供以外は、「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めています。「思いやり予算」は、この規定に違反するものです。
政府は、一九七八年度予算から「思いやり予算」の計上を始めたものの、米国の要求に応え、日本側負担は拡大してきました。政府も地位協定からでは説明がつかなくなり、八七年に特別協定を初めて締結しました。日本政府は当時、「暫定的、限定的、特例的な措置」と説明しましたが、日本側負担の範囲はさらに拡大を続けました。同協定の延長は今回で四回目になります。
政府・与党が早期成立を狙う二〇〇六年度予算案には「思いやり予算」として、二千三百二十六億円を計上。このうち特別協定分は、千三百八十八億円に達しています。
賛成討論に自民拍手
民主「歴史的意義を理解」
「歴史的意義を深く理解する」―。十四日の衆院本会議で、「思いやり予算」に関する特別協定についての採決が行われた際、賛成討論に立った民主党の津村啓介議員は「思いやり予算」を、こう高く評価しました。これには、自民党席からも拍手がわきました。
津村氏は「日米同盟は、いまや日米両国のみならず、アジア、世界各国共有の重要なインフラだ」と力説。世界では軍事同盟に固執する国々が少数派なのに、日米軍事同盟を世界に押しつける立場を示しました。
そのうえで「日米防衛協力のあり方は、これまで基地提供と経費負担が中心だった」と指摘。自衛隊のイラク派兵をあげ、「(日米間の軍事的な)人的協力が拡大している。同盟の質的変化をしっかりとみすえ、思いやり予算のあり方について、国民的な本質的な議論を」と主張しました。「思いやり予算」=「カネ」だけでなく、自衛隊の海外派兵=「ヒト」でも、米軍支援を進めよと、政府を後押しした形です。
津村氏が評価する「思いやり予算」は、米軍岩国基地の滑走路拡張工事にも投入されています。
同工事は、在日米軍再編で、米空母艦載機部隊の移転先として岩国基地が狙われる“呼び水”にもなりました。岩国市民は十二日の住民投票で、同計画にノーの意思を示しました。
津村氏は、この問題をとりあげましたが、住民投票の結果について「政府が説得の努力を続けてこなかった結果。政府のミス」「大変残念」というだけで、民意を尊重した計画の撤回などには一言も触れませんでした。