2006年3月15日(水)「しんぶん赤旗」
日本いつから途上国?
「生活保護以下」の最低賃金
非正規の賃金 正社員の4割
吉川議員質問
小泉「構造改革」の規制緩和によって非正規労働者は大幅に増えました。パートなど非正規労働者は、正社員にくらべて賃金が四割で、格差は年々開いています。日本共産党の吉川春子議員は十三日の参院予算委員会で、非正規労働者の賃金を支えている最低賃金の引き上げを求めました。
手取りは11万円
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日本の地域別最低賃金の全国平均額は、時給六百六十八円です。イギリスの千三十九円、フランスの千百四十八円にくらべ大幅に低い水準(購買力平価換算)です。(グラフ)
吉川議員は、この低い水準の最低賃金さえ下回る労働者が、一般労働者で十五万人、パートで十四万二千人いることを明らかにしました。さらに最低賃金から15%増のパート労働者は百三十四万人(パート全体の28%)もいます。
パート労働者のおよそ三割が、最低賃金に近い賃金水準で働いています。
しかし、最低賃金で月二十二日働き、税と社会保障を差し引くと月額はおよそ十一万円にしかなりません。東京二十三区の単身世帯の場合、生活扶助と住宅扶助をあわせた生活保護費は約十四万一千円です。
吉川議員 一カ月一生懸命働いて十一万円では一人で自立して働けない。いかがお考えか。
川崎二郎厚生労働相 生活保護と似たような数字になっている。
吉川議員 これで一カ月一人で暮らせるのか。
川崎厚労相 基本的には暮らせる数字になっている。
川崎厚労相は実態をみない答弁に終始しました。
企業の能力要件
国際的にみると最低賃金は一般労働者の平均賃金の四から五割以上になっています。しかし、日本は三割にすぎません。(表)
最賃法は、最賃決定の基準に企業の「支払い能力」を考慮するとしていますが、先進国で企業の「支払い能力」を要件としている国はありません。
最低賃金が上がらない理由に政府がもちだしているのが、ILO(国際労働機関)の百三十一条約です。
政府はこの条約で最低賃金の水準決定にあたって考慮すべき要素としてあげられている「経済的要素」を企業の賃金支払い能力と「解釈」しています。「支払い能力」がなければ最低賃金は上げられないというわけです。
吉川議員はILOの百三十一条約そのものを問題にしました。
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吉川議員 ILO百三十一条約の名前をいってください。
青木豊労働基準局長 正式名称は、「開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約」です。
吉川議員 日本はいつから「開発途上国」になったんですか。
吉川議員は、「経済的要素には企業の支払い能力は入らない。それを理由に生活保護基準にも達しない最低賃金の水準は、国際的にも恥ずかしいことだ。生計費に見合う内容を決めてもらいたい」と迫りました。