2006年3月16日(木)「しんぶん赤旗」
サラ金・カードローン
グレーゾーン許した政治
異常な高金利なぜ
大門議員、参院委で追及
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「なぜ異常な高金利がまかり通っているのか」。十五日の参院予算委員会で日本共産党の大門実紀史議員がただした、高金利のサラ金・クレジットローンの実態、それを許してきた政治の責任は―。
金融相「不愉快」
サラ金に低利で資金を貸しているのは大手銀行グループです。その大手銀行系のカードローンも、キャッシングでは利息制限法を超えて高金利(27・8%)を押しつけています。
大門氏がパネルで示したのが三井住友とプロミスが共同で出したカラーの新聞広告。議場の議員らも注目します。
「三井住友はプロミスを傘下におさめ、銀行とサラ金が一体となった姿だ。優良な客には三井住友のカードで貸し、リスクの高いところはプロミスに回している」と大門氏。同じように三菱東京UFJグループはアコムを、みずほグループは武富士をそれぞれ傘下におさめています。
「大銀行がサラ金と一体となって消費者金融に乗り出している。量的緩和で銀行にジャブジャブ供給したお金がこんなことに使われている。どう思うのか」(大門氏)。
与謝野馨金融担当相も「近ごろ不愉快なことは高金利のサラ金業者のテレビCMと、かつて一流と思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることだ」と苦言を呈しました。
最高裁判決受け
大門氏はサラ金の高金利がまかり通るグレーゾーン(図)の問題点に踏みこみました。一月十三日の最高裁判決は「(利息制限法15〜20%の)上限を超える金利について、事実上強制されて支払った場合、特段の事情がない限り、無効」という初判断を示しています。
「今回、グレーゾーンを撤廃する方向で考えろという最高裁判決が出たのだから、そういう提案をしてはどうか」と迫る大門氏。
杉浦正健法相は「最高裁の判例はグレーゾーンそのものを否定しているとは考えていないが、上限金利は貸金業者の業務の実態を勘案して検討する必要がある」と約束しました。
規制の「アメ」に
グレーゾーンが設けられた背景には何があったのか。大門氏は「『グレーゾーン』は貸金業者に規制をのませるための『アメ』として設けたものだ」と指摘しました。
一九八三年に貸金業規制法を制定したとき、同法の提案者だった自民党の大原一三議員(当時)はこう国会で答弁しています。「いろいろの法的規制をいままでの規制のない状態から入れていく手前、その身代わりとして四三条の規定(グレーゾーン金利の容認)を入れた」
大門氏は「六四年、六八年に利息制限法以上の高金利を否定する最高裁判決が出ていた。それを骨抜きにする法律は政府から提案しにくいため議員立法になった」として、議員立法の悪い例だと批判しました。
議員連盟に警告
いま動きが出ている貸金業規制法の改正も議員立法の見通しです。「貸金業界は金利の引き下げに強い危機感を抱いている」と大門氏。昨年、サラ金業者でつくる全国貸金業政治連盟(全政連)の小倉利夫名誉会長が「前回の法改正と同様に、議員連盟をつくってほしいと、何人かの議員にはお願いしている」と公言し、その三カ月後に自民党の「金融サービス制度を検討する会」ができました。
大門氏は業界の意を受けた動きをこう警告しました。
「最近、超党派で『金融システム議員連盟』が呼びかけられたが、高金利引き下げの一文字もない。わが党は加盟を断った。サラ金被害に取り組む消費者団体や弁護士はこういう議員連盟の動きを危ぐしている」
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