2006年3月16日(木)「しんぶん赤旗」

「特別会計改革」 どう考える?


 〈問い〉 国の予算には、通常の予算のほかに特別会計があって、それをなくせば財源は出てくるという議論について、日本共産党はどう考えますか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉 小泉内閣が昨年末に出した「行政改革の重要方針」の一つに、「特別会計改革」があげられています。

 来年には「特別会計整理合理化法案(仮称)」を国会に提出し、今後5年で、現在31ある特別会計を半分程度に減らす方向を検討しています。これに対して、民主党は政府の案は不十分だとして、「6つに減らす」とか「2つだけにする」などの案を検討しているようです。

 特別会計には「各省庁の浪費の温床になっている」というような問題点があることは確かです。しかし、一律に廃止して一般会計に統合してしまえば、経理の区分が見えにくくなり、かえって財政の実態がわからなくなる場合もあります。社会保険料を財源にしている特別会計を一般会計とごっちゃにして、国民が納めた保険料が軍事費に使われるようなことになったりしたら、たまりません。

 特別会計については、それぞれの会計の性格や実態をふまえ、その必要性に応じて、廃止するもの、存続するもの、統合するものなどに分けて、改革の方向を検討することが必要です。

 また、特別会計の総額が単純に合計すると400兆円以上の巨額であることから、「特別会計は一般会計の5倍もある。これを改革すれば何十兆円もの財源が生まれる」というような議論が一部にありますが、これは正確ではありません。特別会計には大幅な重複計算などがあり、実際の「純計額」はずっと小さいからです。

 重複計上額や債務返済、社会保険給付などを除いた特別会計の「その他歳出」(約12兆円)の内訳で最も大きいのが公共事業関係、とりわけ道路整備特別会計です。このほとんどが、道路特定財源です。発電所周辺への公共事業のばらまきや原発推進に使われている、電源開発特会の財源である電源開発促進税も、特定財源の一種です。

 特別会計の改革は、単なる会計の数合わせではなく、こうした特定財源制度にどこまでメスを入れられるかが重要です。

 政府は、06年度予算で「特別会計の積立金・剰余金」を13・8兆円活用したと宣伝しています。しかし、その内容はいわゆる自然増収的なものや、余った資金のごく一部を繰り入れたにすぎず、とても「改革の努力の結果」などとはいえません。

 道路特定財源にメスを入れられない自民党に特別会計改革を語ることができるでしょうか。(垣)

 〔2006・3・16(木)〕


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