2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」
海兵隊強化への負担
井上議員 グアム移転に税金 批判
「海兵隊強化のための負担だ」――。日本共産党の井上哲士議員が十七日の参院予算委員会で明らかにした、沖縄の第三海兵遠征軍(IIIMEF)司令部など、海兵隊八千人のグアム移転計画の狙い。井上氏は、これに巨額の税金投入が検討されていることを厳しく批判しました。
移転費用は百億ドル
米国防総省当局者は十四日、グアム移転費用は百億ドル(約一兆一千八百億円)にのぼり、うち75%(約八千八百五十億円)を日本側に負担するよう求めていることを明言しています。
「米側のこの要求を認めるのか」との井上氏の追及に、小泉純一郎首相は、「米側には米側の考え方がある」と述べ、「百億ドルの75%負担」という要求が出されていることを事実上、認めました。
そもそも、昨年十月の在日米軍再編の日米合意(「中間報告」)では、「太平洋における兵力構成を強化するための変更」の一つとして、「海兵隊の緊急事態への対応能力」の「ハワイ、グアム及び沖縄での再分配」を挙げています。井上氏が指摘したように、沖縄の負担軽減ではなく「海兵隊強化」先にありきです。
沖縄の海兵隊は歩兵・砲兵・ヘリ部隊の一部をハワイに置き、部隊を六カ月交代で沖縄に配備しています。日米合意では、グアムに兵力を移し、三つの拠点を一体的に運用する狙いです。
殴り込み機能強化
グアムは西太平洋の中心に位置し、ハワイ・中国・東南アジア、東京・沖縄とほぼ等距離にあります。(地図)
このため、米軍はグアムを、日本と並ぶアジア太平洋地域への殴り込み拠点に位置付け、爆撃機や無人偵察機の配備、原子力潜水艦の増強など、大幅な機能強化を進めています。グアム移転が、その強化の一部であることは、井上氏が紹介した米当局者の発言でも明確です。
ローレス米国防副次官は「グアムには、海兵隊だけでなく、空軍、海軍も合わせた主要なハブ(拠点)を造ろうとしている。沖縄からの海兵隊の移転はその一要素に過ぎない」(「朝日」十七日付)と述べました。
グッドマン米太平洋海兵隊司令官は、「(グアム移転の)あらゆる計画作成は海兵隊とグアムの利益を念頭において実施される」(米軍準機関紙「星条旗」〇五年十一月六日付)とも述べています。沖縄の負担軽減はどこにもありません。
欲しい物言い値で
井上議員 米議会・海外基地見直し検討委員会が昨年五月にブッシュ大統領に提出した報告書がある。そこでは、グアム移転について「最大で二十九億ドル」と報告している。これを知っているか。
小泉首相 内容については知らない。
井上議員 知らないのは問題だ。この報告書では、二十九億ドルだったのが、今年二月上旬には七十六億ドル、下旬には八十億ドル、三月には百億ドルと膨れ上がった。国内向けの説明の三倍もの要求を出している。積算根拠も示さず、欲しい物を言い値で要求している。
井上氏の追及にたいして、小泉首相は「日本としては沖縄の基地負担軽減のため、ある程度の費用を持つ用意がある」と述べ、「額については折衝していきたい」と述べるばかりでした。
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