2006年3月20日(月)「しんぶん赤旗」
輸入米
在庫2/3が米国産
食管会計赤字 国民に負担
削減求める共産党
日本はおいしい米があるにもかかわらず、年間七十七万トンの米(玄米換算)を輸入しています。WTO(世界貿易機関)のミニマム・アクセス(最低輸入機会の保証)にもとづいた輸入米(MA米)です。日本共産党の紙智子参院議員や高橋千鶴子衆院議員はアメリカ優先となっている輸入米を告発し、MA米の削減を求めました。資料をまじえてその実態を紹介します。
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MA米は、主に加工用(二十五万トン)や食料援助用(二十万トン)、主食用(十万トン)に使われています。いずれも輸入米が押しつけられる前は国産米で対応していたものです。
外国産輸入米の在庫量は、二〇〇五年十月の統計では百七十万トンとなっています。ここ数年、二十万トン程度が在庫として積み増しされています。
国産米の在庫量(毎年十月末に計算)は、水田の減反(生産調整)が強化され〇五年十月末には、古米在庫は食べ尽くして、新米二十四万トンを食べた状態にまでなりました。(グラフ1)
外国産米の在庫のうち三分の二にあたる百八万トンがアメリカ産です。(グラフ2)
市場評価低いのに
これら外国産米の保管経費などで食管会計の赤字は、累計で千三百七十四億円にのぼっています。アメリカの米が国民への重い負担となっています。
アメリカ産米は、市場評価は中国産に比べて低いのに大量に輸入されています。
二〇〇四年度実績では、全体のMA米(精米)の五割近くの三十二万トンが同国産となっています。二番は中国で十七万トン、タイ九万トンなどとなっています。
一方、商社と米穀卸売り会社が同時に入札する方式をとり市場の動向を比較的反映するとされるSBS米では、中国産米のシェアが圧倒的に多く、アメリカ産米は一割程度でしかありません。
市場の評価が低いのに輸入する実態は、アメリカへの奉仕ぶりを示しています。
無理やり総量確保
ミニマム・アクセスの考えはWTO協定にもとづくもので、輸入量が少ない農産物は低関税にして輸入の機会を保証するというものです。
政府は、日本の米輸入は、国家貿易だからWTOに約束した輸入量を確保しなければならない、と説明します。
これにたいし紙氏は農水委の質問で、台湾はMA米の約束量を十四万トン以上としながら国家貿易によって十万トン程度しか輸入していない、韓国のトウガラシも約束量を守っていないなど具体例を紹介。一方日本は、二〇〇四年は豪州産米が不作のため十万トンから二万トンに輸入が落ち込んだにもかかわらず、他国からわざわざ輸入して総量を確保しています。
紙氏は「輸出国の事情なら、〇四年は八万トンの外国産米輸入量が減っても問題ないはずだ」と指摘し、MA米の削減を主張せよと求めました。
MA米の問題では、高橋衆院議員も一日の衆院予算委員会分科会で、最近のWTO農業交渉では米国が日本のMA米輸入を六百万トン程度まで大幅に増やす内容の提案をしていることを批判し、日本農業に悪影響となるMA米を削減するように求めています。