2006年3月21日(火)「しんぶん赤旗」
爆弾でなく堤防造れ
イラク帰還兵やハリケーン被災者
米、平和行進が終結
ニューオーリンズで集会
【ニューオーリンズ=山崎伸治】米国でイラク開戦三周年となる二十日、退役軍人とハリケーン被災者による「平和と正義のための行進」がニューオーリンズ市内中心のルイ・アームストロング公園で終結し、地元の人たちが大きな拍手と歓声で行進団の到着を迎えました。
約四百人が集まった集会では、ハリケーン被災者支援団体の代表や兵士の家族らのほか、イラク帰還兵が登壇しました。
二〇〇五年十月にイラクから戻ったマイケル・ミランドさんは「謝罪したい。イラクの人たちには私の国と私個人がやったことを。まだイラクにいる兵士の兄弟姉妹たちには、まだ帰国を実現させていないことを。(メキシコ)湾岸に住む人たちには(ハリケーン被災で)助けてあげられなかったことを」と述べ、大きな拍手を受けました。
二度目のイラク行きを拒否し九カ月間投獄された経験を持つカミロ・メヒアさんは、西海岸でもイラク戦争反対の平和行進が行われていることを紹介。同行進を先導するフェルナンド・スアレス・デル・ソラルさんが携帯電話を通じて行進の様子を話しました。
ミズーリ州からイラク帰還兵の息子と行進に参加したティナ・リチャーズさん(43)は、「これほどニューオーリンズの町が破壊されていることに驚きました。行進に参加してすばらしい人たちに会えて息子は傷を癒やされたようです」と語っていました。
二十日午前、行進最後の行程の出発点となったシャルメット国立墓地で、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争などの退役軍人が訴え。第二次大戦時に欧州戦線で病院列車の衛生兵だったジーン・グレイザーさん(81)は「米国よ目を覚ませ」と、ブッシュ政権の戦争政策を批判しました。
最終行程はハリケーン・カトリーナで水没し、ニューオーリンズで最も被害の大きかった地域を含む約八キロ。参加者は被災から六カ月を経てもまだ建物の残がいが山積みにされたままの道路を歩き、「爆弾ではなく堤防を造れ」と訴えました。
沿道の人々が玄関から出てきて手を振り、行き交う自動車が次々とクラクションを鳴らして行進団に連帯を示しました。