2006年3月22日(水)「しんぶん赤旗」
女性の地位 国際的指標はあるの?
〈問い〉 日本の女性の地位が国際的にみてもきわめて低いそうですが、どんな国際的指標があるのですか?(静岡・一読者)
〈答え〉 日本の女性の地位を国際的にみるには、女性差別撤廃条約をもとにみると、よくわかります。
条約は、政治的、経済的、社会的、文化的なあらゆる分野で、性にもとづく差別をしてはならないとしています。
日本政府は、この条約の実施状況を審査する女性差別撤廃委員会から、差別是正の遅れを指摘されているのです。
改善勧告をされている事項は、議会や外交官・検察官などの公的分野に女性の参加が少ない、男女の賃金格差、パートや派遣労働に女性の比率が高く賃金が低い、家庭生活と職業の両立が困難、夫婦の氏の選択や婚外子への相続差別―などです。
男女間の賃金格差は、ILO条約勧告適用専門家委員会からも繰り返し指摘されています。政策決定の地位における不平等や婚外子差別、婚姻年齢の男女差などは、国連人権委員会(自由権規約、社会権規約)から、指摘されてきた問題です。
女性の地位についての国際比較は、UNDP(国連開発計画)がGEM(ジェンダーエンパワーメント指数)として発表しています。この指数は、各国の国会議員、管理職、専門職・技術職にしめる女性割合と男女の推定所得を用いて算出したものです。
05年版の報告書では、日本はGEMの順位が04年の38位からさらに低下して43位(80カ国中)です。
ちなみに、GEM1位のノルウェーと比べると、国会議員の女性割合は日本9・3%、ノルウェー38・2%。管理職の女性割合は日本10%、ノルウェー30%。専門職・技術職の女性割合は日本46%、ノルウェー50%。女性の推定勤労所得は、日本が男性の46%、ノルウェーは75%です。
日本政府の白書などにも、世界との比較が出されています。「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(05年9月、男女共同参画会議・専門調査会)には、仕事と子育ての両立の困難など、日本の女性の地位の現状が反映しています。(坂)
〔2006・3・22(水)〕