2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」
公営住宅の入居制限が強化されたって?
〈問い〉 公営住宅の入居制限が強化されたと聞きましたがどういうことですか。日本共産党はどう考えますか?(東京・一読者)
〈答え〉 国土交通省住宅局長名で昨年12月26日、各都道府県知事に「公営住宅法施行令の改正」と「公営住宅管理の適正な執行」という通知がだされ、地方自治体で通知内容を実施する条例改定がおこなわれようとしています。
その内容は、(1)現居住者の入居の際の収入基準(公営住宅は低所得者を対象としていることから入居収入基準を定めている)を少しでも超えると、最終的には民間並みの近傍同種家賃にする、(2)現行では入居の名義人が死亡や離婚でいなくなった場合、3親等(子、孫、父母、兄弟・姉妹、祖父母、叔父・叔母)まで使用が承継されていたものを、原則として配偶者に限定する、(3)単身入居の年齢基準を引き上げ50歳以上から60歳以上にする。さらに、(4)「住宅困窮事情を可能な限り把握」し、入居者を限定すべきとして、入居の申込み時に預金、有価証券、不動産など換金性を有する資産を自己申告させる。そして保有資産を自治体が確認できるよう同意書の提出を義務付けています。
この通知の内容が実施されると収入基準を少しでもオーバーした居住者の家賃が大幅に値上げとなり、退去せざるを得なくなるとともに、現在でも高齢化している地域、団地の高齢化がいっそう進行することになります。そのため団地の自治会活動が困難になるなど地域のコミュニティーを失うことになりかねません。また入居時の保有資産の自己申告とその確認は、入居階層をいっそう限定することになり、入居抑制につながりかねません。
このような措置は「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備」して「国民生活の安定と社会福祉の増進」をうたう公営住宅法の目的にも反するものです。
公営住宅居住者と国民の運動で通知による改悪をやめさせ、地方自治体に改悪を実行させないよう運動を強めることが重要です。(高)〔2006・3・23(木)〕