2006年3月24日(金)「しんぶん赤旗」
法相、司法の独立侵す発言
仁比議員の抗議で撤回
杉浦正健法相は二十三日の参院法務委員会で、憲法が定める「司法権の独立」をおかす発言を行い、同委員会が紛糾しました。日本共産党の仁比聡平議員の抗議で法相が発言を撤回する一幕がありました。
杉浦法相は、裁判員制度導入をめぐる国民新党議員への答弁で、「刑事事件について量刑が軽すぎるとか…変な裁判をする」と発言。東京都世田谷区内の住民が小田急線高架工事の認可取り消しを求めた訴訟で、東京地裁が原告住民の訴えを認めたことをとりあげて、「ちょっと国民の常識からいったらおかしいんじゃないか」などと述べました。
同訴訟は昨年十二月、最高裁が住民側の原告適格を認める判断を出したばかりで、現在も係争中の事案。憲法第七六条は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」と定めており、法相の発言は、これを踏みにじるものです。
直後に質問に立った日本共産党の仁比議員は「司法の独立に対する重大な侵害だ。大臣の憲法に対する認識を疑わざるを得ない」と述べ、厳しく抗議しました。
法相は「変な裁判という点は適切でない」として撤回を表明。弘友和夫法務委員長は、「速記録を調査し適当な措置をとる」と述べました。