2006年3月27日(月)「しんぶん赤旗」
海兵隊のグアム移転費負担
根拠も前例もない
NHK番組で笠井氏が批判
日本共産党の笠井亮衆院議員は二十六日、NHKの番組「日曜討論」に出席し、在日米軍再編や自衛隊のイラク派兵問題などについて各党の代表と討論しました。
沖縄の負担をいっそう重く
討論ではまず、在日米軍再編にかかわって沖縄の海兵隊司令部を中心としたグアム移転経費の負担問題がテーマになりました。自民党の町村信孝衆院議員は、「沖縄の負担軽減」のために日本側がある程度、負担する必要があるとの認識を示しました。
笠井氏は、グアム移転によっても負担の元凶である海兵隊の実戦部隊は沖縄に残ることを政府が認めており、海兵隊の普天間基地に代わる新基地が名護市に建設されようとしていることに地元で「がんの移転だ」との怒りの声が上がっていることを示し、「『負担軽減』どころか『負担強化』だ」と述べました。
しかも、今回の移転計画は太平洋地域での米軍戦力強化の一環と位置付けられており、その経費を負担する根拠は日米安保条約にもないと批判。米領の基地強化のための費用を他の国が負担するのは歴史的にも国際的にも例がないと政府自身が答弁しており、世論調査でも八割近くが日本側の負担に「納得できない」と答えていることを紹介し、「(米側に)はっきり『ノー』と言うべきだ」と強調しました。
日米が一緒に海外で戦争へ
在日米軍再編の目的に関連し、民主党の長島昭久衆院議員や公明党の佐藤茂樹衆院議員は「日米の緊密な連携強化が必要」と述べ、「日米同盟の強化」を主張しました。
笠井氏は「『日米同盟強化』とか、『米軍の駐留がなければ国が守れない』と言うのは時代錯誤だ」と述べました。在日米軍再編の狙いの一つは「海外で日米が一緒に戦争するための一体化だ」と述べ、地球規模での日米共同作戦のため米軍と自衛隊が共同訓練を積み重ねていることや、司令部の一体化が進められようとしていることをあげ、「日本を守る」という自衛隊の建前を超えて非常に危険な段階に来ていると強調しました。
町村氏は「北朝鮮みたいな事態があったときに米国にすぐ来てもらいたい」「しっかり協力関係を保っているから、いざというときにお互い頼りになる」などと述べました。
笠井氏は、アジアでは今、軍事同盟に頼らないで、米国とも対等平等の関係を築くという流れが広がっており、アジア諸国の懸念は侵略戦争に無反省な日本が軍事同盟強化の道を進んでいることだと指摘。米国が先制攻撃戦略という危険な戦略を持っていることにも触れ、「日本が外交の力、憲法九条に基づいてアジアと世界の平和のために貢献するという方向への切り替えが求められている」と述べました。
イラクからの撤退を直ちに
最後に、イラクへの自衛隊派兵問題がテーマになり、町村氏や長島氏は「日本だけやめる状況ではない」と述べました。
笠井氏は、イラク国民の世論調査で七割が占領軍の撤退を求めていることや、イラク戦争がウソで始めた大義のない戦争だったことが明らかになる中、米国内でのブッシュ米大統領の支持率が三割に落ち込んでいることなどを指摘しました。自衛隊は米国言いなりで派兵され、その撤収も米国との協議任せになっていると述べ、「ブッシュ大統領は自分の任期中の米軍撤退はないと言っている。このまま行けばずっと付き従うことになり、(自衛隊は)直ちに撤退すべきだ」と主張しました。