2006年3月30日(木)「しんぶん赤旗」
文科省
高校教科書検定を公表
慰安婦」直させる
文部科学省は二十九日、来春から主に高校一年生で使われる教科書の検定を公表しました。戦時中の従軍慰安婦について「日本軍により慰安婦にされた」という記述を「日本軍の慰安婦にされた」と書き直させ、軍の責任をあいまいにするなど、侵略の事実を隠そうとする検定がおこなわれました。
検定ではこのほか、南京大虐殺の犠牲者数を二十万人とした教科書に対して「諸説を配慮していない」と書き直しを求めました。自衛隊のイラク派兵について「戦時中のイラクに自衛隊が派遣された」と書いた教科書は、派遣先は「非戦闘地域」だとする政府の主張に従って「主要な戦闘終結後も武力衝突がつづくイラクに…」と書き直されました。
現代社会の申請本にあった「ジェンダー・フリー」という言葉が削除されるなど、女性の権利にかんする記述を書き直させる傾向も目立っています。
また、高校一年用としては初めて学習指導要領の範囲を超える「発展的内容」を入れることが認められ、理科と数学では前回検定(二〇〇一年度)と比べて一割程度ページ数が増えました。
今年度の検定には三百六点の申請があり、すべて合格しました。生物Iでは十二点の申請本に計二千三百四十八件の検定意見がつき、各科目中最多でした。