2006年3月31日(金)「しんぶん赤旗」
軍需企業から職員雇う
防衛庁 日当1人10万円
長官が実態調査約束
防衛庁が幹部の天下り先になっている軍需産業に、受け入れた職員への「日当」として一人あたり平均十万円を支払っていた――。防衛庁は三十日の参院外交防衛委員会で、こうした異常な実態を明らかにしました。日本共産党の緒方靖夫議員の追及に答えたものです。緒方氏は、談合事件で問題になった防衛施設庁だけでなく、装備品をめぐる防衛庁の「官業癒着」の実態にも「メスを入れるべきだ」と迫りました。
緒方議員が指摘
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緒方氏がとりあげたのは、装備品の研究開発を一元的に行っている防衛庁の技術研究本部による「労務借り上げ」の実態です。
「労務借り上げ」とは、装備品の研究開発にあたり、防衛庁が軍需産業側から技術者・職員の派遣を受け入れ、派遣元企業に「日当」として、研究費の一部を事実上補助するシステムで、一九五〇年代から始まりました。
緒方氏の質問に佐々木達郎参事官は、「労務借り上げ」の上位五社(二〇〇四年度)の合計だけでも、のべ約二万八千人もの職員を受け入れており、その日当の総額は約二十九億円に達することを明らかにしました。
緒方氏が、平均すれば一日あたり十万円を超える日当になるとただすと、佐々木参事官は「そのような金額になる」と認めました。
緒方氏は、防衛庁との契約高上位の軍需産業十九社について調べた結果、技術研究本部が「労務借り上げ」として、十七万人を超える職員を受け入れていることを指摘(〇〇―〇四年度。別表)。そのために支払った日当の総額は百九十三億円に及びます。一方で、こうした企業に天下りしている防衛庁幹部OBが三百十一人もいることを示し、「到底、国民の理解は得られない」と批判しました。
額賀福志郎防衛庁長官は「『労務借り上げ』についても、実態を調べ、検討していきたい」と答弁しました。
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